オーディオフォーラム 番外編2
「マンションのホームシアターには防音は必要か?」
鉄筋コンクリート造のマンションの防音性能は、一般的に50dBぐらいです。近年のマンションは、日常の生活レベルではほとんど支障のない性能になってきております。
しかし、ホームシアターにおける音楽ソフト(ライブコンサートやオペラ、ミュージカル、オーケストラ・・・)やハリウッド系映画ソフトなどの場合、満足のゆく鑑賞となると、ついつい大音量になりがちです。
ちなみに当ショールーム シアタールームでの音響計測によると、
鬼太鼓座 ・・・・102dB
ジャズ・テイクファイブ ・・・85dB
スターウォーズ ・・・・95dB
となりました。(瞬間的には+5~10dBになるシーンもあります。)
上記音圧レベルは、グランドピアノ並みの音になりますので、当然上下階・隣戸には、シアター音がよく聞こえてしまうことになります。夜間もシアターを楽しむとなればピアノ室並の防音性能が必要になります。
防音性能を3段階以上、すなわち65dB以上の性能にするには、防振2重浮構造にする必要があります。
床・壁・天井の防振2重浮構造の施工の技術的解説を簡単にスライドを通して説明いたします。
・本格的アトモス立体音場を体験できる
・メインスピーカー以外のAV機器は内装工事的に全てビルトイン。インテリア空間としてスッキリしている。
・2chオーディオ(ピュアオーディオ)との無理のない共存関係の設計になっている。
・防音性能が実演を通じて体感できるので設計方針をたてやすい。
弊社シアタールームを是非ご体感ください。ご参加お待ちしています。
▶開催予定日
・3月18日(金) 19:00~21:00/OPEN 18:00
・3月19日(土) 13:00~15:00/OPEN 12:00
▶会場
当社九段ショールーム
(千代田区九段北2-3-6 九段北二丁目ビル1F)
⇒アクセスマップはこちら
▶お問い合わせ先
○TEL:03-5829-6035
○E-mail:kusakai@acoustic-designsys.com
○担当者名:草階(くさかい)
☝各番号・アドレスをクリックすると画面が起動します
3月のオーディオフォーラムは、
マンションにお住まいの方、お待たせしました。
今回のテーマは番外編2として「マンションのホームシアターには防音は必要か?」をお届けします。
マンションにお住まいでホームシアターを検討されている方、防音についてお悩みの方、この機会にぜひ足を運んでみませんか?
専門のスタッフが皆様のご来場を心からお待ちしています。
詳細が決まり次第、追って内容を更新いたしますのでどうぞご期待ください。
オーディオフォーラム 番外編2「マンションのホームシアターには防音は必要か?」
について、オーディオライター 橋爪 徹 氏によるレポートをお届けいたします。
去る3月18日と19日に行われたオーディオフォーラムの番外編2。
筆者は19日の部に同席した。
参加者はごく少数とあってアットホームな雰囲気で進行した。
テーマは、「マンションのホームシアターには防音は必要か」
集合住宅でも気兼ねなく大音量で音楽や映画を楽しめたら……
お気に入りのアーティストのライブBDをコンサートさながらの音圧で楽しめたら……
オーディオ&AVファイルの夢である。
音量が小さいと低域は耳の特性上どうしても聴き難くなりリアリティを十分に感じられない。
音量を上げてこそ音楽の本来の音は聴こえてくるし、
映画における迫力と静寂のコントラストだって味わえるからだ。
番外編2では建築音響のプロ集団であるアコースティックラボが、
そのノウハウをたっぷりと語ってくれた。
当日配布された資料を交えながら筆者の所感を中心にレポートしてみたい。
映画の音はAVアンプなどで再生すると分かるがオーディオよりも音が大きい。
特にダイナミクスが広く、静寂かと思ったら、いきなり爆音のシーンに変わる。
邦画よりも洋画はその傾向が強い。
思う存分音を出せる異国の住宅環境が反映されているのかもしれない。
映画鑑賞中にお隣から「壁ドン」をお見舞いされた方は私だけでは無いだろう。
決して無視のできない現実だ。
気になるマンションの遮音性能はどの程度なのか。宅内および隣戸への一般的な性能と、求められる性能が示された。
D値とは遮音性能の評価を数値で表したものだ。
例えば、隣戸へのD値が60なら、80dBのオーディオの音は(80-60)となって20dBまで減衰して届くことになる。
(実際は周波数毎に減衰の特性は異なるが、最も減衰量が少ないポイントでD値は評価されているので、
だいたいこの理解で問題ない)
20dBの例としては、木の葉のすれ合う音や置時計の秒針の音がある。
おそらく集中して聴かないと気付かないレベルだ。
このD値ごとの音の聞こえ方を表にしたものがこちらだ。ご覧の通り、映画の方が必要とする性能が厳しくなっている。
ちなみにアコースティックラボでは、どのような環境のマンションでも隣戸に対してD-65以上は保証しているそうだ。
遮音設計の基本。まずは資料をご覧いただきたい。
特筆すべきは、工事費と遮音性能の関係を示したグラフである。
既にあれこれと対策されている方には申し訳ないが、吸音や遮音のための材料(パネル・シートなど)
を貼ったとしてもほとんど効き目がないのが現実である。
費用は掛かるが性能があまり上がらないのがグラフの左側で一目瞭然だ。
それに対して床壁天井を二重浮床構造にすると、費用は比較的安価なのに高い効果が得られる。
他にも音を一切漏らさないための気密構造。
重い面材の使用(低音の遮音対策に特に有効)など専門集団ならではのノウハウが披露された。
窓や扉は家庭である以上、どうしても設置せざるを得ない。
屋外環境にもよるが、窓はD-50以上の性能は欲しいところだ。
扉はある程度自由度がある。防音ドア二重にする方もいれば、
室外は見栄えを重視して一般的なドア+室内は防音ドアという方も多いだろう。
家庭に作られた防音室では、後者の方がリラックスして入室できそうだ。
長々と技術的な内容が続いたが、フォーラムでは参加者が退屈しないように音楽ライブや
映画のBDが適度に挿入され緩急を付けた流れを作っていた。
特別胸が躍ったのは、九段ショールームの遮音性能を体感しようというコーナー。
これはドルビーアトモスのデモBDより「STAR WARSバトルフロント」を流しながら騒音計を持ってあちこち歩き回るというもの。
同作はPCゲームを題材にしており、平均95dB程度、瞬間的には100dBをも超える大迫力のデモだ。
図にあるD-35のDAWスタジオに移動すると、
減衰後が65dBくらいなので迷わずクレームを入れたくなるレベルの音漏れとなる。
次にオフィスフロアに出ると45dBくらいまで減衰するため、時々小さく「ズズン」と聴こえる程度だ。
これだと夜間は気になるかも知れない。フロアを出てビル共有部の廊下まで行けば、ほとんど分からない。
むしろ暗騒音の方が大きくて、「今の空耳?」というレベルである。
D’-65というのが非常に高性能であることを体感できた時間であった。
四方への音漏れに怯え、映画の爆発シーンで慌てて音量を下げるせせこましいシネマライフ。
実際のライブ(生音)とはほど遠い音圧で、脳内保管しながら聴くイマイチな音楽ライフ。
マンションでこういったお悩みを抱えている方に、ぜひ伝えたい。
「部屋を作ってみませんか?」と。
日本の特殊な住宅事情の限界を理解し、オーディオファイルや映画ファンの理想を受け止め、
その差を埋めることのできる防音ルーム。
アコースティックラボなら、きっと良き相談相手になってくれるはずだ。
橋爪 徹 プロフィール
オーディオライター。ハイレゾ音楽制作ユニット、Beagle Kickのプロデュース担当。
WEBラジオなどの現場で音響エンジニアとして長年音作りに関わってきた経歴を持つ。
聴き手と作り手、その両方の立場からオーディオを見つめ世に発信している。
Beagle Kick 公式サイト
(http://dimension-cruise.jp/beaglekick/)
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