Audio Forum Vol.0

  • 2016.10.07 (金)
  • 番外編 話題のMQAをゆる~く試聴する集い
告知概要

アコースティックラボ主催、MQA試聴イベントが緊急開催決定!
「容量が小さい!」「音がスタジオ品質に近づく!」「非対応機器でも再生だけなら可能!」……などなど何かと話題のMQA。
噂だけは耳にしていても、実際の音はまだ耳にしたことがない人が大半ではないかと思います。

本イベントでは、新進気鋭のオーディオライター橋爪徹が厳選したMQA音源を体験できます。
なんと今回はオリジナルのWAVとMQAの比較試聴も実施予定。
難しいことは抜きにして(いや、ちょっとは語ります!)、その不思議な音質変化を味わってみませんか?

会場は無駄な響きを徹底排除したアコースティックラボのショールーム。
音楽の本当の姿が見えてくる!試聴にぴったりの環境です!

合わせて「オーディオルーム相談会」も開催します。
お気軽にご相談ください。

▶開催予定日

・10月7日(金) 19:00~21:00/OPEN 18:00 

・10月8日(土) 13:00~15:00/OPEN 12:00

 

▶会場

蔵前ショールーム

(台東区柳橋2-19-10 第二東商センタービル2号館B棟1階)

 ⇒アクセスマップは kuramae

 

 ▶お問い合わせ先

○TEL:03-5829-6035

○E-mail:kusakai@acoustic-designsys.com

○担当者名:草階(くさかい)
☝各番号・アドレスをクリックすると画面が起動します

 

参加連絡先

協賛

番外編 話題のMQAをゆる~く試聴する集い

REPORT Vol.0

  • 2016.10.07 (金)
  • 番外編 話題のMQAをゆる~く試聴する集い

「話題のMQAをゆる~く試聴する集い」レポート

あいにくの秋雨に見舞われた10月上旬。

アコースティックオーディオフォーラムの番外編として、今話題のMQAを試聴する集いが開催された。
ナビゲートはオーディオライターの橋爪徹。例によってレポートも私(橋爪)が担当する。当事者ではあるが、あえて客観的な視点で内容を振り返ってみたい。
イベントは楽曲の違いこそあれ、2日間ともほぼ同じ構成で行なわれた。最初にアコースティックラボの鈴木代表から挨拶があったあと、橋爪氏の自己紹介。MQAとの関係についてはDigiFi No.23において特集記事を担当したと述べた。またハイレゾ音楽をプロの作曲家和田貴史氏と共同制作し、同楽曲をMQA化した音源も試聴しているという。 
まずは、蔵前のショールームが初めての方のために部屋の音響特性をチェックした。オーディオイベント定番の楽曲を流しても「鳴らし切れているか」に注意が行ってしまうので未体験の曲をあえて選んだと橋爪氏。ジャンルの違う3曲を大きめの音量で流すことにより、雑味の少ない自然な響きが確保された、まさに音楽のための防音室であることが伝わった。 終演後のアンケートには、「最高」「文句なし」「広がり感がある」「バイオリンの生演奏を聴きたい」「部屋も機材の一部だと分かった」などのコメントが寄せられた。
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続いてMQAの試聴だ。最初にFLACによるハイレゾを再生した後、MQAエンコードを行なったFLACを再生して比較した。

MQAはファイルフォーマットではなく、新種のエンコード・デコード技術である。何でも音を補正した上で、従来のハイレゾファイルよりも大幅にサイズを小さく出来るらしい。そして聴くときは元のハイレゾに含まれている音楽情報を復元し、さらに上質な音楽体験ができるとのことだ。

音の違いはほとんどの方が実感できるほど分かり易いものだったが、いったいこの変化は何なのだろう。
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当日使用したMQA対応のUSB-DAC「Prime Headphone Amplifier」
プリアンプ機能も備えるため、パワーアンプに直接接続を行なった

 一旦、ここで休憩。
アコースティックラボのスタッフや橋爪氏も交えて、オーディオ談義に花が咲く。
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休憩明けには、プロジェクターを使ったMQAの技術解説があった。大スクーリーンを降ろし見易いフルHDの映像で解説を楽しめるのも、ここがシアター設備も整えた試聴室だからこそ。上質なルームアコースティックはもちろん、実に贅沢な空間だ。

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休憩中、熱心に質問に答える筆者。

 MQAの技術解説は、当日来た方だけのお楽しみとしたい。
ただ、スライドはいくつか抜粋してお見せしよう。(資料はMQA社から提供された)

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MQAとは何なのか、その聴き方、小容量化と時間軸上の精度向上について、また今後の展望なども語られた。

正直、MQAの詳細な中身は難解だった。ブラックボックスもあって、全てが明らかになっている訳でも無いようだ。今回のイベントでは概要だけを知ってもらい、音の変化を楽しんでほしいというメッセージが暗に伝わるプレゼンだった。

より詳細を知りたい方は、橋爪氏執筆のMQA特集が載ったDigiFi No.23やMQAのサイトにあるJASジャーナルの技術資料を参照するとよいらしい。

解説もそこそこに残りの時間はひたすら比較試聴に当てられた。
中でも興味深かったのは、橋爪氏がプロデュースを担当するBeagle Kickの音源だ。
なんとCD版WAVマスターとハイレゾ版WAVマスター、MQA版(FLAC)の比較試聴ができたのだ。音の良さにこだわったBeagle Kickの楽曲は、CD版でも十分いい音だと感じたが、ハイレゾ・MQAと聴いていくと、より音楽が躍動的にリアリティーを増して迫ってくる。空間は広く深くより正確に描写され、楽器のディテールは緻密になり、演奏者が込めた抑揚などは実にエモーショナルに空間を満たした。

橋爪氏はこの音の変化が「レコーディングやミキシングのときの音のニュアンスに近づいていること」に注目しているらしい。
MQAはその理屈上、厳密なロスレスとは言えないと思われるが、音楽を作っている側が「録ってるときの音に近い!」「こういう音で届けたかったんだ!」と熱烈に語っている様は説得力があった。
オーディオファイルに限らず、音楽ファンなら大好きなアーティストが楽曲に込めた想いは忠実に受け取りたいと願うだろう。MQAの「マスター品質を保証する」というコンセプトは、その願いへの一つのアンサーなのかもしれないと感じた。
また、DSD音源からのMQA版も比較試聴することができ、その摩訶不思議な音の変化は会場をうならせていた。

質問コーナーでは、日本の音楽業界のMQAに対する現状や、32bit整数音源のMQA化、またADCへのMQA導入の有無などが寄せられた。橋爪氏が回答できず宿題になってしまった32bit整数(32bit integer)音源だが、技術的には可能であり、開発担当のボブ氏の元には存在もするそうだ。
なお、日本ではアニソンを中心に32bit整数の音源が存在するが、32bitのままMQAにはなっていない。今後の登場が待たれる。

今回、MQAを試聴して思ったことは、とにかく試聴機会が広く設けられることが大事ということ。効果を実感しやすいクラシックやJAZZなどの良質な音源はもちろん、ロックやポップス、アニソンなど多様な楽曲を体験することで、MQAの統一されたコンセプトをよく理解できるだろう。
ハードやソフトの充実はもちろんだが、音楽業界の理解も欠かせない。橋爪氏が述べていた研究目的に限ったMQAエンコーダーの利用許諾はかなり重要なのではと感じた。日本人はとても慎重なのである。自分たちの音源で確認しないことには、信用と決断は難しいだろう。

最後にMQAのような音質変化を確かめる場としてアコースティックラボの試聴室は最適だと感じた。部屋による歪みが少なく、豊かで心地よい響きが確保された試聴室では、心から音楽に浸れる。

今後も各種のイベントが開催予定だ。引続き注目していただきたい。

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