第8回 「臨場感について(第二回)」
テーマ「音の充実感」について
現代住宅内装構造に潜む弱点と「響き方」の関係
ナビゲータ 村井裕弥氏
今回のテーマは
現代住宅内装構造に潜む弱点と「響き方」の関係について、
となります。
・・・さて、当フォーラムもご好評につき、毎回多くのお客様にお越しいただいております。
ご存知のとおり、人間もまた音響的に見れば吸音材ですので、ライブ気味に設計した当視聴室も、10人入れば聴こえ方はかなり変わってきます。
左のグラフは当視聴室の残響時間と吸音率のグラフです。
青いグラフが人間が1人のとき、赤いグラフが人間が9人のときで、それぞれ測定をした結果です。
ご覧のとおり、250Hz付近までは人間の吸音力はほとんど影響していないのですが、それ以上の帯域、特に高音域になるとその差が顕著に現れてきます。
このように吸音されていくと、一般には音の広がり感が抑えられる代わりに、音の焦点が定まりますので、解像度が上がる傾向にあります。
音楽ジャンルや個々人の好みによって、最適な残響は様々ですが、上記のような中高域の音の響きは、後から調整することが比較的容易なので、自身の好みに調整しやすいという特徴がございます。
ところが低音域はこのようにいきません。
これについては8回のフォーラムで触れたいと思います。
【使用機器】
Olasonic
・CDプレーヤー NANA CD-1
・DAC内蔵プリメインアンプ NANO UA-1
・DAC NANO D-1
ALLION
・プリメインアンプ T-200SV
B&W
・805ダイアモンド
LUXMAN
・SACDプレーヤー D-08u新製品
【再生ソフト】
○『ステレオ』2014年2月号付録「究極のオーディオチェックCD 2014~目指せ!原音再生」
○『季刊オーディオアクセサリー』No.152付録「STUDIO Dede Jazz Reference Disc」
○『ステレオサウンド』No.190付録「J・S・バッハ カンタータ選集スペシャルサンプラーSACD」
○『新 長岡鉄男の外盤A級セレクション』付録「SACD Hybridサウンドサンプラー」
○『レコード芸術』2014年5月号付録CD
【再生のポイント、聴きどころ】
通常の試聴会と異なり、「あなたのお部屋と、聞こえ方がどう違うか」をテーマとした試聴会です。
ここにあげたソフトをくり返しご自宅で試聴されたのち、おいでいただくことで、驚きが何倍にもなります。
もちろんすべて買い揃えていただく必要はありませんが、可能な限り多くの枚数を事前に聴いていただけたらと存じます。
第8回オーディオフォーラム、今回のテーマは「ステレオ再生における臨場感、その2 『音の充実感」でしたが、いかがでしたでしょうか?
今回は通常の視聴会とは違い、事前に告知をした音源を、ご自宅で視聴されたのちにお越しいただくことで、部屋の違いが再生音にどのような影響を与えるかを探る実験的な試みでした。
また、オラソニックのNANOコンポシリーズと、ラックスマンとアリオンの高級機をそれぞれ用意し、高級機だから良い音が鳴るのか、についても検証をしました。
これについては次回のブログにて。
まず、部屋の違いが再生音にどう影響を与えるかについて。
これはもう、(当然ですが)歴然の差が現れました。
私の自宅をはじめ、現代建築は軽く振動しやすい材料で作られています。
振動するということは、その周波数帯域で”吸音する”ということですが、現代建築において、その周波数帯域は100Hz~300Hz付近の中低域に集中します。
これは音楽においてもっともおいしい低音の成分でして、ここが失われると、量感が乏しく、何とも物足りない音になってしまいますが、これまでの経験上、多くの方がこのような環境で音楽を聴かれているように思います。
防音工事は遮音性能を確保するために床・壁・天井を重い材料で作りますが、同時に振動しにくい高剛性の環境が、自動的に得られるのです。
私の自宅で『ステレオ』2014年2月号付録のパイプオルガンを再生したところ、何とも残念な低音で、とても聴けるものではなかったのですが、当社ショールームでは、とても豊かな低音が朗々と鳴っていました。
改めて部屋の大切さを知ると同時に、自宅に専用室が欲しい衝動に悩まされることになりました・・・
担当:草階
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