日時:8月22日(金)18:30~
場所:アコースティックデザインシステム・ショールーム
以下は炭山氏からの解説文です。
6月30日に発売された故・長岡鉄男氏のムック「
MX-
MX-10はMX-1唯一の弱点というべき「低音不足」
通常業務に追われ、更新が遅れてしまいました。
急遽決定したオーディオフォーラム番外編でしたが、ナビゲーターを務めていただいた炭山アキラさま、ご参加いただいた皆様、有難う御座いました。
フタを開けてみると満員御礼となり、改めて長岡鉄男氏の影響力の凄さを感じた次第でした。
さて、今回のオーディオフォーラムは長岡鉄男氏の設計による自作スピーカーを3種類用意し、聴き比べるという企画でした。
始めに聴いたのはD-3mkⅡ(改)、バックロードホーンスピーカーです。
これはD-3mkⅡの横幅を4センチ広げた設計になっているそうで、長岡氏が生前「あと4センチ広げられる」とお話しされたことを忠実に再現したものです。
スピーカーユニットはフォステックスのフルレンジユニットにスーパートゥイーターという組み合わせでした。
実は当社にも、代表の鈴木が30年前に制作したバックロードホーンスピーカーがありまして、私などはその素直な音が非常に好きです。
やや低音域にクセがあるのですが、そのクセも含め、実直な音だなぁという印象でした。
それに比べD-3mkⅡは、当社のバックロードホーンのクセが抑えられつつも、実直な音はそのままに非常にバランスのいい鳴りっぷりでした。
スピーカーの能率もよく、大音量のソースも余裕で鳴らしておりました。
騒音計で測定したところ、100dBの音圧!通常のオーディオ再生では85~90dB程度がいいところなので、その大きさがわかると思います。音が大きいだけでなく、ハイレゾ音源の再生でも、微小な音の繊細な表現も難なくこなし、そのパフォーマンスの高さに驚きました。
続いてMX-1マトリックススピーカーの視聴へ。
このスピーカーはこれ1本でサラウンド再生を可能にするということで、どこまでその実力を発揮できるかが注目でした。
実際に聴いてみると、確かに広がり感、つつまれ感がありましたが、サラウンド感を感じられたのはスピーカーの軸上から数10センチ程度の範囲でしたので、席を変えながら皆さんで体感。
スピーカーユニットはフォステックスFE103-SOLという新しいユニットですが、これが30年前に考えられたスピーカーだというのですから、長岡氏が不世出の天才といわれる所以がわかりますね。
休憩を挟み、続いてMX-10に移ります。
これはMX-1の欠点とされる低音不足を解消するべく考えられたスピーカーで、見た目はヘッドはMX-1によく似ていますが、内部は3分割に分かれて構成されており、下部のスタンド兼キャビネットと合わせダブルバスレフ方式となっているのが特徴です。
MX-10と比べてみると、不足しがちな低域成分が充実しつつも、MX-1と同様のサラウンド感が得られ、純粋にグレードアップを果たしたと感じました。
最後に炭山氏の設計による「カモハクチョウ」の視聴へ。
このスピーカーはステレオ誌8月号の自作スピーカー聴き比べ特集に向けて氏が設計したスピーカーでしたが、トラブルで間に合わず、今回が初お披露目ということになりました。
スピーカーとしてはフルレンジユニット1発のバックロードホーンスピーカーで、その鳴りっぷりが注目されました。
印象としては、バックロードホーンらしい実直な音の伸びと、豊かな低音が印象的でしたが、特定の周波数でのボンつきが少し気になるところでした。
炭山氏もそれは認識していたようで、キャビネットの後部から砂を入れることで解消できるということで、その場で砂を入れて確かめてみました。
結果、確かにボンつきは抑えられ、締まった低音になり、さすがにチューニングの効果の高さを感じました。
試聴を終えて印象的だったのは、特にバックロードホーンにおいては大音量で聴くのがとても気持ちいいんですね。
楽器の音が非常にリアルに聴こえるのは、音の伸びや指向性の強さが影響しているように思えます。
ただ、この音量を一般家庭で楽しむには、防音対策無しではまず無理でしょう(私の住むマンションで鳴らした日には一発でクレームが来るレベルです)。
普段多くの防音室を造っていますが、自分に置き換えてみても、やはり専用室は必要だなーと感じました。
(担当:草階)
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