ステレオフォニック再生とは何か?といっても十人十色のイメージがあるのではないかと思われますが、あえて2派に分類して探っていこうという試みです。
イ) 音場派 = 音楽の現場をそのまま部屋に再現したい
ロ) 音像派 = 楽器などの音をリアルに再現したい
この命題は録音、編集というソースづくりの問題、アンプなどの伝送系の諸問題なども大きく関係しているのは承知の上、今シリーズは数回に渡って『スピーカーと部屋』の関連を軸としてこの問題に迫って行こうと考えています。
初回はB&W802と805の比較試聴です。
弊社モデルルームのリファレンスSPは当初805D3でしたが、皆様のご要望もあり802D3に替わって1年経ちました。しかし805が力不足であったとか部屋とのマッチングが悪かったというのではありませんでした。
改めて1年ぶりに聴いてみると802が持ちえない805の良さがあるのだということを確認しております。このことが音場派?音像派?の命題にストレートに答えているとは言えませんが、各々の特徴があり表現力も微妙に異なります。同じブランドで同じシリーズの製品ですから音質・音色はの違いは少ないからこそ比較試聴する意義はあると思っています。
※試聴器材のラインナップ変わってませんが、ケーブル類は現在お借りしているアコリバ製品に一新しております。特に電源系、デジタル信号系のケーブル・アクセサリー類の変化は大きく、再生サウンドは従来より大きく向上しております。
▶開催予定日
1部:9月29日(金)18時~20時(17時開場)
2部:9月30日(土)14時~16時(13時開場)
※イベントの前後に建築音響相談コーナーを設けます。
部屋造りや音響面でのご相談にお答えしますので、事前にご予約ください。
※試聴ソフトの持ち込み大歓迎です。(ファイル音源のみの再生なので、USBメモリをお持ちください)
▶会場
蔵前ショールーム
(台東区柳橋2-19-10 第二東商センタービル2号館B棟1階)
お問い合わせ先
○TEL:03-5829-6035
○E-mail:kusakai@acoustic-designsys.com
○担当者名:草階(くさかい)
※ お申込みフォームはこちらをクリック
月末恒例のオーディオフォーラムを2ヶ月ぶり(夏休み)に再開しましたが、あいにく当日両日はインターナショナルオーディオショーとバッティングしてしまいましたが、それでも満席と満席に近いご参加ありがとうございました。もっとも本会の趣旨である「じっくりオーディオを聴くという場の提供」 といった意味では機器の展示が主なオーディオショウと競合するわけではありませんから心配は無用だったわけです。
当モデルルームのリファレンスSPであるB&W802D3と805D3の聴き比べを通して、今回のテーマ「あなたはステレオフォニック再生 音場派?音像派?」としましたが、少々企画意図がボケ気味だったのは反省するところです。
そもそもB&W800シリーズはモニタースピーカーではありますが、音場再生を得意とするスピーカーです。ユニットの共通性があり特性的近似性があるがゆえにトールボーイ型で大型の802とスタンドブックシェルフ型・小型の805の音場再生能力の違いがわかるのではないかという企画意図があったつもりですが・・・・・・。
両者の再生音の違いは余裕の違い、低音の再生能力の違いは当然のこととして、805の定位感・音場の拡がり感の自然さを好意的に評価する声が多かったのは耳の肥えた参加者達だったからです。小型SPであるが故にの優位性があるのだということを再認識されたようでした。
それから802と805の比較試聴という事自体が、あるようで意外と少ない、否初めて聞いた という人が多くとても面白く興味深かったということと、805の実力を再認識したという声があったことは企画者として少しばかり救われた気持ちになりました。
モデルルームの響き音長さについてのアンケートは90%の人が「丁度よい響き」と答えています。当モデルルームの平均吸音率は小さく(0.2以下)、当日の10~15人 入室時では0.23~0.25位になっていたと思いますが「響きが多い」と答えた人は1人でした。
定在波が分散するように設計する(定在波の重なり=響きのピーク感がない)と吸音が少なくても、音楽を聴くうえでは(モニタ的聴き方ではないという意味)なんら問題ないというだけではなく、805のような小型のSPでもよく鳴り、部屋の隅々まで音楽情報を届けられ、部屋を音楽空間化することができる、ということが理解いただけたのではないでしょうか。
次回は高音域の指向性パターンが真逆のJBLホーン型SPを用意して、B&Wとの比較試聴をします(今度は分かりやすい企画だとおもいます)。それからホーン型SPとマッチングする部屋の吸音パターンも検討する会にもする予定です。
ジャズファンに好まれるJBLという定説もありますが、クラシック再生も中々いけるようですからクラッシックファンの方にも賛同いただける調整・セッッティングを心がけますのでご期待ください。
以下、アンケートによる感想の一部をとり上げます。
1. ジャズ Sさん
全体に音がクリアで良いのに驚いた。802は少し音像がボケた感じで自分の好みは805です。
2. ジャズ Mさん
高域の響きが良い、低域も引き締まった音。部屋の特性で音圧が稼げていると感じた(B&W805D3)。
3. ジャズ Mさん
会話音(声)がとても自然で「音楽を聴ける部屋」だと感じました。もともとB&Wは音場よりのSPで802と805の比較は音場と音像というよりはSPの余裕の差と感じました。
4. ジャズ・クラッシック Wさん
オーケストラの場合は802の方が良いが、それ以外では定位感のある805で充分。
5. ジャズ・クラッシック Sさん
モニター的部屋だと思う。音響条件の良い部屋でSPの音が聴けて大変良かった。ただし805D3の低音がセッティングのせいか、少しブーミーに感じられた。
6. クラシック Kさん
部屋の鳴り方が自然で、音のパワーが逃げない感じがした。
7. ジャズ・クラシック Aさん
802は圧倒的な量感が印象的でしたが、較べなければ805で充分。SPユニットが少ない分、スピーカーが消えたのは805でした。響きが素晴らしく、音ではなく音楽として聞こえました。
8. クラッシック Yさん
オーディオ機器の真価は部屋次第ということがよくわかった。B&W800の新シリーズの音の高評価の理由が今回はじめてわかったように思う。805の低音にびっくりした。
9. クラシック Tさん
ピアノの高音と低音のゆがみが少ないのに驚いた。
10.クラッシック Sさん
見た目はライブな響きに思えたが、クセもなくデッド気味で試聴に向いている。
11. ロック・ポップス Tさん
ロックでは802だが、ジャズ・クラシックでは805のバランスの方が明らかに良かった。
12. オールジャンル Kさん
左右、上への音の響きの良さが判りました。低域の響きのしまりが欲しい。部屋の静けさが印象的。
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