Audio Forum Vol.50

  • 2018.05.25 (金)
  • オーディオルームの室内音響設計について ④ ~響きの質~
追加告知

1.部屋には響きの質の違いがある。
響きの質は内装材の響き(内装下地構造)で決まる。低音の響き方による再生音の違い、悩み

形あるものはその形と材質によってそれぞれ固有の響きを持っている。部屋も、その空間の形で固有響きが先天的に決まってしまうということは音響設計の基本であることは再三述べてきた。

ここでいう響きの質とは、反射音で構成される響きの質で、床、壁、天井部位の固有の振動、響きのことである。
大きなガラス面がある部屋はなんとなく硬くガラスっぽい響きがすると感じる人がいるし、木材で内装された部屋は気持ちの良い響きがすると感じる人が多い。

SPの振動板は、紙であることが多いがポリプレン素材や金属板、あるいはそのハイブリットもあり、
各々が持つ固有の響きを自立させないような工夫をしてHi-Fi化を目指しているが、
やはり細かいニュアンスの違い(測定上では判別できない)があることは
少し詳しいオーディオファイル諸氏の知るところである。

SPBOXは形状によって音が違ってくる(部屋の形状と同じ)のは当然のこととして、材質によっても違う。
現代SPは合板をはじめとして、MDF、アルミ、樹脂材などいろいろあるのに加えて、○.○○mmのお化粧材によっても音が変わってくる。
木目の外観でも現代は木目調のプリントシートのものが大半を占めているが、高級SPは天然の突板が貼られる(それでも筐体はMDFか合板)

ちなみに当社レファレンスSPであるB&Wの802D3、805D3は黒のピアノフィニッシュという塗装バージョンであるが、木目の突板のものもある。
音のニュアンスの違いが表面の薄い仕上げ材によって明確に違うのである。
ヴァイオリンという形と昨日は同じでも、一丁数万円から、○○億の価格のひらきがあるけれども、音にこだわる人にとっては、その差はリーズナブルなのであろう。

故・長岡鉄男氏がSPBOXのオルゴールの金属発音体メカ部分を取り出して、SPBOXの上で鳴らしてそのSPBOXの良しあしや音の傾向を判断していたことがあったと記憶している。
直観的でシンプルな手段で一気に本質に迫る氏の閃いた発想に今更ながら、氏の天才ぶりに感心する。

閑話休題・・・反射音の質の話に戻します。

直接音=反射音ではない
 直接音の大きさ>反射音←透過音 ※音が小さくなる
            ←吸音

直接音∝間接音ではない
DS = RS +透過音+吸音+rs1+rs2+rs3+・・・
 ※rs1,rs2,rs3,・・・・DSの振動周波数とは異なる微小な音=歪音である。

歪音の発生原理
 ①中空構造による板共振によるもの Fr
 ②素面材の屈曲振動(共振)によるもの Fc

歪音の抑制
 素材の面密度を大きくする=重い材料にする。
 ・共振周波数の低下→歪周波数の低下
 ・歪音の音圧低下

その結果すっきりした響きの部屋になる→高剛性化

 その反対に、響きの質のコントロール
 歪音を利用する、
 楽器のそれぞれの鳴音(音色)が違うのは倍音の成分が違うため。ここでいう倍音とはオーディオ的には歪音

木材の響きは気持ちの良い響き、という事実

 

田口音響研究所製のスピーカーは21日に届きました。

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6月のイベントでは、ロジャースラボ LS3/5aの試聴ができます。お楽しみに

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告知概要

 今回は部屋の「響きの質」についてがテーマになります。

音の「響きの質」の違いは、大きく2つの要素が考えられます。
①表面材(下地構造を含む)によって反射波に微小な歪音が加わる場合
②高音域の特定の帯域で響きが残る場合(フラッターエコー現象)

これらの要素は限りなく抑制する方向へと捉えがちですが、場合によっては、
「木の響きは素晴らしい」とか、「ポンッと叩いて響きが残る」といった話にあるように、
その響きをうまく利用したり、組み合わせたりすることも、響きの質を考えるうえで重要となります。

ちなみに、当社モデルルームの響きは『漆喰壁+コンクリート下地無垢フローリングの響き』ということができます。

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改めて響きの質感に注目して当社オーディオルームの音を聴いてみませんか


 今回のサブテーマは前回に続いて「平面振動板スピーカーの音を聴く」です。
リファリンスにはB&W 802 D3を使用し、田口音響研究所製のスピーカーを比較試聴いたします。

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次回は平面スピーカーの3回目として、㈱FALのフラットスピーカーを聴く予定です。

開催概要

▶開催予定日

 1部:5月25日(金)18時~20時(17時開場・自由試聴時間)
 2部:5月26日(土)14時~16時(13時開場・自由試聴時間)

※イベントの前に建築音響相談会および、自由試聴時間を設けます。
 建築音響相談会に関してご希望の方は、申込フォーム備考欄にご記入、もしくは電話にて事前にご予約ください。

※試聴ソフトの持ち込み大歓迎です。(ファイル音源のみの再生なので、USBメモリをお持ちください)

▶会場
蔵前ショールーム
(台東区柳橋2-19-10 第二東商センタービル2号館B棟1階)

▶お問い合わせ先
○TEL:03-5829-6035
○E-mail:kusakai@acoustic-designsys.com
○担当者名:草階(くさかい)

※ ご好評につき、イベントは終了しました

参加連絡先

協賛

オーディオルームの室内音響設計について ④ ~響きの質~

REPORT Vol.50

  • 2018.05.25 (金)
  • オーディオルームの室内音響設計について ④ ~響きの質~

平面振動板SPを聴く2回目での印象

今週は田口オーディオのSPをお借りして試聴した。
構造も振動板の材質を含めて、いろいろ違いがあるのだから音質・音色が異なるのは当然だが、共通点もあるような気がする。

音場表現が広く音像定位が安定しているように思える。
「音場の安定性」という言い方はオーディオ界では一般的表現ではないが、あえて言葉を捜すなら安定性という表現をつかいたいと思う。

低音が豊かで高音のトランジットも良い…
というよりは自然で安定感があり、微少音もやせることなく解像度が高い。
それから音の伝達距離が優れている。音が遠くへ良く飛ぶ…
以上、語彙力と文字的表現力のPoorさを露呈した言い方をお許しください。
ともかく円錐コーン型SPの音の出方とは異なるステレオ表現世界があるということは言えそうだ。

次回は3回目として、FALの平面SP試聴を予定している。
某オーディオ誌でFALのドライバユニットを使った自作SPを評論家の村井裕也氏が従来の「オーディオ的出音」とは異なる音だと評していたが、教科書的には理想的な振動板とも云われている。
理想のトランデューサーの音に近づいた音なのであろうか。次回の試聴がより楽しみになってきた。

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