Audio Forum Vol.58

  • 2019.01.25 (金)
  • 低音・中音・高音の伝送特性のバランスについて
追加告知

聴感特性の手掛かりは、部屋におけるスピーカーの周波数特性によってある程度掴めることになっています。
過去のフォーラムにおいて、スマホによる周波数特性の取得などの会もありましたね。
しかし、その特性をどう解釈し具体的にどのように特性をコントロールするかは、思ったほど簡単ではないようです。

オーディオ機器の性能評価のひとつとして周波数特性のフラット化がありますが、それらの伝送特性は、DC~100kHzフラットなどという(可聴周波数は20Hz~20kHzと云われている)ほぼ完璧な特性が常識です。
*真空管アンプの特性でも下記のごとくである。

真空管アンプ特性

それが、スピーカーのような機械振動領域になると、途端に素材や素材の形からくる制約によって乱れ始める。
周波数帯域的にも低音や高音のレスポンスは下がり出し、音圧の凹凸はすさまじいレスポンス(公表されているスピーカーの無響室における周波数特性は、ある程度平準化されたものが一般的)を示していて、
電気的領域における平坦特性とは程遠い真逆な特性です。

スピーカー特性

(例:テクニクス 20PW09)

そしてさらに、スピーカーからの音が実際に耳に到達する時点での音の姿(周波数特性)は、部屋による反射波の影響によってさらに様々に変化させられてしまう。
もうこれは、周波数特性的にはデフォルメの世界と言っても良いぐらいだ。

蔵前SR特性

(当社モデルルームでの802Dの特性)

スピーカーの周波数特性は部屋の影響を受けない無響室で計測されるが、現代スピーカーとヴィンテージスピーカーの音の良し悪しは、その周波数特性の形態からはなかなか判断がつかないものだ。
もちろんフラットな周波数特性に近いからと言って、良い音が出るという保証は無い。

しかし、実際に周波数特性なる実態も知ること無しに、もっと言えばそんなこととは関係なく、我々の現代オーディオは確実に「良い音」を手にいれつつある、という事実も実感しています。

良い音・悪い音は周波数特性から直接的には判断するのは難しいが、意味が無いのかというとそうでもない。
何が分かるのか、そして何が有効な対策なのか・・・・?
低音・中音・高音の周波数音圧バランスは確実に把握できるし、そのバランスはオーディオ再生音の聴感に大きな意味を持っている・・・・ということは確実に言える。

今回は、その「周波数バランス」の話である。

石井伸一郎氏は著書の中で次のような特性を「良い音特性」として紹介しており、イコライザーによる補正は有効であると述べています。
(介在するイコライザーによる音質の劣化は僅少で、特性バランス効果の方が大と言う意味です。)

音のバランス

(「リスニングルームの音響学」(石井伸一郎)より引用)

一方、部屋の形状に起因する(必然的に発生する)低音域における定在波の音圧の凹凸は悩ましい現象として知られています。
定在波による音圧のピーク・ディップの補正が可能でそれが有効なのか・・・・
良い音に繋がるのかどうかも検証してみます。

周波数特性の補正・コントロールは電気的にはどういう手段があるのか・・・
ひとつはアンプに付属するトーンコントロールやコンペンセーターがある一方、グラフィックイコライザーやパラメトリックイコライザーなどがあります。
これらの機能のデジタル化も可能で、現在では高級でないAVマルチアンプにもマイク付き自動演算補正機能が付属していて、容易に周波数特性のフラット化が可能になっています。

トーンコントロールコンペンセーター

(例:アキュフェーズ C-2420)

イコライザーによる補正は有効で良い音につながるのかどうかの検証もしてみようと思います。

グラフィックイコライザーパラメトリックイコラーザー

(例:グラフィックイコライザーとパラメトリックイコライザー)

 

告知概要

明けましておめでとうございます。
本年初回のオーディオフォーラムは
1月25日(金)18:00~20:00
1月26日(土)14:00~16:00
に開催します。

テーマは「低音・中音・高音の伝送特性のバランスについて」です。
当日は3種類の伝送特性を実際に当社オーディオルームで再現したものを聴いていただきます。
伝送特性はスピーカーと部屋の総合特性になります。
低音の出にくい小型のスピーカーでも意外に低音感のある音楽を再生できますし、
大型スピーカーでも腰高の音になったりする場合もあります。

 

開催概要

▶開催予定日

 1部:1月25日(金)18時~20時(17時開場・自由試聴時間)

 2部:1月26日(土)14時~16時(13時開場・自由試聴時間)

※イベントの前に建築音響相談会および、自由試聴時間を設けます。
 建築音響相談会に関してご希望の方は、申込フォーム備考欄にご記入、もしくは電話にて事前にご予約ください。

※試聴ソフトの持ち込み大歓迎です。(ファイル音源のみの再生なので、USBメモリをお持ちください)

▶会場
蔵前ショールーム
(台東区柳橋2-19-10 第二東商センタービル2号館B棟1階)

▶お問い合わせ先
○TEL:03-5829-6035
○E-mail:kusakai@acoustic-designsys.com
○担当者名:草階(くさかい)

※ お申し込みは、こちらをクリック

 

追伸:新シアターモデルルームと自由試聴会のお知らせ

昨年12月から4k・8kの映像のテレビ放送が始まりました。
私事になりますが、年末にポンコツ液晶テレビを10年ぶりに4k対応有機ELテレビに変えたところ、
映像オンチの小生でもその素晴らしい小さな感動を感じる新年になりました。
またオーディオでもそうであるように、さらにアンテナ信号経路を更新したところ、
映像の質感がグレードアップしたのが家族レベルでも確認できて、
ハイビジョン仕様で充分でないの・・・・
と高をくくっていた小生も少なからずインパクトを受けています。

閑話休題

実はD&Mさんのご厚意により、新年早々最新AVアンプをお借りしており、
蔵前新10帖シアターのプレお披露目を兼ねて自由視聴会を行います。

sdr
10帖の新シアターモデルルーム

お借りした機材は
 L_av8805_f_b_fr_cl

MarantzのAVプリアンプAV8805/FB
 
d3601-177-701537-0
 Marantzの7chパワーアンプMM8077/FB
 
d3601-167-198177-1
DENONのAVアンプ、AVC-X6500HKとAVR-X4500HK

 

マランツのAVアンプと7chパワーアンプは従来のオーディオルームへ

デノンの一体型AVアンプは2台共に新10帖シアターモデルルーム(ディスプレイは液晶)にセットしましたので、2部屋で体験することができます。

弊社のクライアントはピュアオーディオのお客様が多いのですが、おまけでホームシアターを併設導入する、という方も結構いらっしゃいます。
ピュアオーディオとホームシアターは共存可能であり、その棲分の度合には、いろいろなケースがありますが、
マランツの高級セパレート型の音質的な実力は、ピュアオーディオの人にとっても気になるのではないでしょうか

蔵前のモデルルームは新シアタールームもオーディオルームも4台の天井サラウンドスピーカーを設置しておりますが、
加えて新シアタールームはフロントハイトスピーカーも設けています。
残念ながら映像関係は未だハイビジョン2k仕様ですが、
本年は4k仕様のものに更新すべく、機器選びのための情報収集をしているところです。

 

開催概要

▶開催予定日
 1月18日(金)
 1月19日(土)

▶お問い合わせ先
○TEL:03-5829-6035
○E-mail:kusakai@acoustic-designsys.com
○担当者名:草階(くさかい) 

※イベントの前に建築音響相談会および、自由試聴時間を設けます。
※試聴ソフトの持ち込み大歓迎です。(ファイル音源のみの再生なので、USBメモリをお持ちください)
※自由視聴会は、電話・もしくはメールにて事前にご予約ください。

参加連絡先

協賛

低音・中音・高音の伝送特性のバランスについて

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