Audio Forum Vol.24

  • 2015.10.30 (金)
  • 続・防音工事をすると音が良くなる

 

続・防音工事をすると音が良くなる

 ◆目次

1.リスナーは直接音とともに間接音(反射音・残響音)を聞いている

2.音を悪くする要因は間接音にある

3.現代住宅の構造は基本的に音を濁らせる要素を抱えている

4.軽くて薄い新建材の響き(間接音)の実体
 A-低音を吸音している
 B-共振動による歪音という二次音源を作り出している

5.防音工事の基本は重い材料を使うことである
(その他に二重防振構造にすることが重要)
⇒それはA・Bの現象を低減することに直結している

6.より良い部屋のプロポーションが必須条件
 条件が満たされる⇒サッパリ・スッキリとした響き
 条件が満たされない⇒強烈なブーミング・クセのある響き
 (このような経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか…)

前回とテーマは同じですが、より深く掘り下げる内容となります。

論理的には難しくない話ですが、天井の高さも含んだ部屋のプロポーションの
話になると、現実的な話から少し遠ざかってしまうのかもしれませんね。

10月に出展したオーディオ・ホームシアター展では、
セミナーの終わりに、
「音は聞いてみなければわからないんじゃない?」
「音響測定器のデータより人間の耳の方が正確では?」
という方はぜひ、当社ショールームへお越しください!
…と締め括らせていただきました。

そして早速、セミナーにご来場いただいたお客様から試聴のご予約をいただき、
ご自身のお気に入り音源を持参し、じっくりと耳を傾けていらっしゃいました。
実際に響きの良さを体感し、「百聞は一”聴”に如かず!」をご納得いただけたようです。

「まだハッキリとは予定を立てていないけど、話だけなら…」
という方も大歓迎です!
ぜひこちらからお問い合わせください。

皆様のご応募、心よりお待ちしております。

 


 

■10月30日(金)19:00~21:00/OPEN 18:00
■10月31日(土)13:00~15:00/OPEN 12:00
■10月31日(土)16:00~18:00

会場:九段下ショールーム

(アクセスマップはこちら

140926ショールーム03

当日機材
・Network Player / SFORZATO DSP-03
・NAS / DELA N1Z
・Pre Amp / Accuphase C-2420
・Power Amp / Accphase P-4200
・SP / B&W 805 Diamond

 

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続・防音工事をすると音が良くなる

REPORT Vol.24

  • 2015.10.30 (金)
  • 続・防音工事をすると音が良くなる

24回目となる当アコースティックオーディオフォーラムは、
10月最終週末での開催でしたが、いつもより参加者は少なめでした。

10月はオーディオ関連のイベントが数多く開催されていたこともあり、
みなさんイベント疲れ…はたまた挽回の為の家族サービス??でお忙しくされていたのでしょうか?

 

第24回AAF_①第24回AAF_③第24回AAF_⑦

今回のテーマは『防音工事をすると音が良くなる』。
このテーマは過去6月と7月の当イベントと、
今年のオーディオ・ホームシアター展(2015年10月16日~18日開催)のセミナーでも取り上げました。

一見マユツバ的なタイトルだと捉えられがちですが…
この真実を我々は本気で強く訴えたいと思っています。

みなさん、こんなことを思ったことは無いでしょうか?

良い機材も手に入れた、
セッティングもこだわって調整した、
でも、なんで良く鳴らないんだろう…??

それは部屋が悪さをしているのです!

だから我々は特別な魔法をかける訳ではなく、
『響きを悪くしない部屋』を造っているのです。

今回の当イベントでは、『響きを悪くしない部屋』造りの基本的なポイントを解説。
それらに着目しつつ実際に音楽を聴いて楽しんでいただきました。

 

<部屋が響きを悪くしている3つのポイント>
第24回AAF_②

 

ポイント①
【一般的な部屋】
現代住宅の内装構造(戸建て・マンションとも共通)は、軽くて薄い面材料を使った中空2重構造となっていて、低音域で共振現象が起きやすくなっている
 ⇒低音域が吸音されてしまい、その帯域の響きの充足感が損なわれている

【防音工事をすると】
高い遮音性能得る為に、床・壁・天井を重くてがっちりとした面で構成する
 ⇒一般的な部屋で不足していた低音域の充足感が向上される

1106修正_第24回AAF_④

これは石川様邸オーディオルーム工事にて、工事前と工事後に測定した残響時間の結果グラフです。

63Hz、125Hzで大きく残響時間が改善されているのがわかります。


1106修正_第24回AAF_⑤ 1106修正_第24回AAF_⑥

先にも述べたように、現代住宅の内装構造(戸建・マンションとも共通)は、
軽くて薄い面材料を使用した中空二重構造となっています。
このような二重の面で形成されるものは、ある特定の周波数で共振します(通称:太鼓現象)。
実は、防音工事においてその共振する周波数では、その面の透過損失が著しく低下するので、
遮音性能を向上させたい場合はその周波数(共鳴透過周波数:frm)をいかに可聴帯域よりも
低い周波数にできるかが非常に重要なポイントとなります。

共鳴透過周波数は次の式で算出します。

数式1

,m:2つの表面材の面密度
d:両面の間隔

この式から、面の質量(m,m)を大きくするか、面と面の間隔dを大きくすれば共鳴透過周波数rmは低くなるということがわかります。

ここで、一般住宅(マンション、戸建とも)の床・壁・天井の共鳴透過周波数rmを算出して図にまとめてみました。
1106修正_第24回AAF_⑫

この図を参照しながら、皆さんもご自宅のオーディオルームの床や壁・天井を拳で軽く叩いてみてください。
それぞれの面が、共振周波数で『ポ~ン、ポ~ン』と鳴り、
床や天井がけっこう低い周波数で共振していることを理解いただけると思います。

このように、共振周波数で共鳴透過するということは、室内の音のエネルギーが
著しくその周波数で外部へ逃げていく、すなわち吸音されるということなので、
グラスウールやロックウールのような吸音材がなくても一般住宅の室内では
低音域(共鳴透過周波数)で吸音されているのです。

防音工事とは、高い遮音性能を得るために共鳴透過周波数frmを可聴帯域よりも低い周波数とするため、可聴帯域の低音域でもしっかりとした反射音を得られ、ボヤけることなく豊かな低音が再生できるようになるのです。

 

ポイント②
【一般的な部屋】
現代住宅の内装構造(戸建て・マンションとも共通)は、軽くて薄い面材料を使った中空2重構造となっているため、低音域で共振現象が起きやすくなっている
 ⇒共鳴共振による付帯歪音(付帯共振)が発生し、反射音を濁らせている

【防音工事をすると】
高い遮音性能を得るため、床・壁・天井を重くてがっちりとした面で構成する
 ⇒共振を抑制し付帯歪音の発生を抑えられる

◎現代建築構造と防音室
1106修正_第24回AAF_⑧1106修正_第24回AAF_⑨

これらの現象を確認する為に実験を行ってみました。
900mm×1,800mmサイズで下記のような断面の壁のサンプルをそれぞれ作り、
ピンクノイズを発生させた状態でそれらの面に振動ピックアップを当てて振動の大きさを計測しました。

A)一般的な部屋の壁仕様
石膏ボード1枚

B)一面を重くした仕様(防音工事の仕様に近い)
石膏ボード3枚

一般的なA)の仕様では、125Hz付近で大きく振動していたものが、 B)仕様では、防音工事の仕様のように重い面で構成され、それらの振動が抑えられているのがわかります。

このように、防音目的で面の質量を重くすれば面の振動が小さくなり、すなわち付帯歪音の発生が軽減されるのです。
よって、防音工事をした部屋は付帯歪音の少ないスッキリとした響きが得られるということになるのです。

 

ポイント③
定在波のコントロール
この点に関しては、防音工事をすれば単純に『響きを悪くしない部屋』ができるわけではありません。
〝うまく防音工事をすれば〟という条件付きなのです。

その条件とは、『部屋の形(部屋の寸法比率)が適切である』ことです。

閉鎖された空間で必ず定在波が発生します。
コンサートホールのような大空間では問題にならない定在波の在り方が、
オーディオルームのような小容積空間では重大な音響的欠陥となり得ます。

「定在波の分布」が分散化する適切な部屋の形にしなければ、
定在波が引き起こすブーミーな響きからは逃れられないのです。

このように防音工事をした部屋は、各面の反射性が高まり、
定在波の存在がより顕著になるので、一歩間違えればトンデモない音の部屋になるし、
うまく設計してあげれば驚くほどスッキリとした自然な響きが得られるのです。

このような基本的なポイントが抑えられれば、部屋は悪さをしません。
部屋が悪さをしなければ、オーディオの機器や電源、
音源などの違い・特徴が非常にわかりやすくなります。
(それはそれで更なる追求衝動に駆られてしまうかもしれませんが…)

最後に、弊社クライアントからの相談内容と工事完成後の感想をまとめ、今回のレポートを終わりとします。

(担当:岩元 公生)

——————-

●ケース1
相談内容
「大きな音を出すと、音が飽和してうるさい感じになってしまう」

工事後の感想
「音量をどんどん上げていっても、音の飽和感につながらないので
 ついつい音量をあげすぎてしまいます。」

●ケース2
相談内容
「深夜に小さい音で聴くとき、周波数バランスが崩れてしまう」

工事後の感想
「小さめの音でも音のバランスが崩れず音楽の形がはっきり聴けるし、
 以前より音楽が楽しめるのでピアニッシモの世界ならではの美しさを実感!」

●ケース3
相談内容
「音楽を聴いていても自然な響きが感じられず、スピーカーの存在感が残る」

工事後の感想
「スピーカがスッと自然に音がなるようになったので、
 お蔵入り寸前のスピーカが蘇った感じがします。」

●ケース4
相談内容
「低音に締まりがなくボヤけた感じで、音程がはっきりしない」

工事後の感想
「低音の響きが自然でタイトになったので
 音程が明確になって、低音の動きがリアルに感じられます。」

●ケース5
相談内容
「音の抜けが悪く、圧迫感を感じる」

工事後の感想
「音の響きが低音から高音まで素直なので、あまり部屋を意識しなくなりました。
 小さな部屋だけど、音のヌケが良いのでひとまわり大きな感じがします。」

●ケース6
相談内容
「高音ツイーターのキツさがいつまでも取れない」

工事後の感想
「高音がキツく感じられたスピーカが逆に柔らかく、
 自然になるようになった!」

●ケース7
相談内容
「クリアに聴けるが響きに豊かさがない、ノリが悪い」

工事後の感想
「響きは以前の部屋より確実に長いが、
 実際に音楽を鳴らすと響きの長さを意識しないのが不思議。
 音のツブ立ちがはっきりしていて豊かになりました。」

…いかがでしたでしょうか?

弊社では音響・防音に関する相談を随時受け付けていますので、
一人で悩まず、打ち明けてみませんか?
ショールーム見学も歓迎です!

ご興味のある方は、下記連絡先へお気軽にご連絡ください。

【連絡先】
 電話番号:03-5829-6035
 メールアドレス:kusakai@acoustic-designsys.com

 

 

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第25回Acoustic Audio Forum
テーマ「オーディオルームに吸音は必要なのか?」

 

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