第28回 Acoustic オーディオフォーラム、
「石井式オーディオルームについて!」
石井伸一郎氏が提唱する「石井式リスニングルーム」
石井氏がいち早く部屋の重要性に着目し、地道な実験や測定を重ねてたどり着いた、部屋造りの理論。
今回は、「良い音になる部屋の3大要素」を中心に当社による解説で皆さんにお届けいたします。
<良い音になる部屋の3大要素>
① 伝送特性
・部屋の固有振動(部屋のプロポーション、定在波)
・スピーカーとリスニングポイントの位置関係
・吸音・反射
② 部屋の響き
・部屋の固有振動
・反射音の質(歪付帯音・・・材質、面の断面構成)
・平均吸音率・残響時間
・直接音と間接音の割合
③ 音像の空間的拡がり
・鏡像の空間配置
・縦長配置、横長配置
・ライブエンド・デッドエンド、デッドエンド・ライブエンド
以上のようなプログラムを予定していますので、ぜひご参加ください。
▶開催予定日
・2月26日(金) 19:00~21:00/OPEN 18:00
・2月27日(土) 13:00~15:00/OPEN 12:00
▶会場
当社九段ショールーム
(千代田区九段北2-3-6 九段北二丁目ビル1F)
⇒アクセスマップはこちら
▶お問い合わせ先
○TEL:03-5829-6035
○E-mail:kusakai@acoustic-designsys.com
○担当者名:草階(くさかい)
☝各番号・アドレスをクリックすると画面が起動します
※お申込みフォームはこちらをクリック
我が国が誇るテクニクスブランドの生みの親である
石井伸一郎氏が提唱する「石井式リスニングルーム」。
数々の優れたスピーカーを開発された石井氏は、いち早く部屋の重要性に着目し、
地道な実験や測定を重ねてたどり着いたその部屋造りの理論は、
今日では多くの実績を残し、今なおオーディオファイルの注目を集め続けています。
弊社でも石井氏とは浅からぬ縁がございましたが、
今回はその部屋造りの理論を、当社による解説で皆さんにお届けする企画です。
石井式はどんな点で優れているのか?
何が画期的なのか?
これらについてやさしく解説をしていきます。
また、シュミレーションソフトによる伝送周波数特性の検証や測定の実演など、
盛りだくさんの内容でお届けしますので、ぜひご参加ください。
今回のテーマは『石井式リスニングルームについて考える』です。
部屋の重要性に気が付いているオーディオマニアが手にする著作とは、
(「リスニングルームの音響学」著:石井 伸一郎氏)があります。
しかしその労作を体系的に捉えたり、要約しようとすると、なかなか難しいようです。
「リスニングルームの音響学」204ページの「良い音になる部屋の3大要素」
という項目を中心に解説します。
①良い音のする部屋 伝送特性が良くなければならない
①-1 リスニングポイントでの伝送音圧周波数特性に大きな凹凸がないのが
望ましい。
①-2 伝送音圧周波数特性は部屋に発生する定在波の分布の仕方に左右される。
①-3 スピーカの位置によっても変わる。
①-4 したがってSPのセッティングが重要
→パソコンシミュレーションソフトで伝送音圧周波数特性の予測が容易になった
①-5 定在波による伝送音圧周波数特性の凹凸は吸音することによって、
小さくすることができる。
①-6 低音域の吸音は難しい。また全帯域の吸音につながるので必ずしも
良い結果につながらない。
定在波の分布が伝送特性に影響する。
1. 1:1の正方形や整数倍になるような比率は避けなければならない。
2. 定在波分布の良い部屋の形(プロポーション)は数多く存在することから
建築設計的には難しいことではない(緑色領域)
定在波が重なる もしくは近接する→定在波の偏在→伝送音圧周波数特性の乱れ
吸音が少ない場合、伝送音圧周波数特性は凹凸が大きい。
(・・・張りのある、陽性の響き)
吸音を大きくすると凹凸の偏差が少ない伝送音圧周波数特性なだらかなF特となるが、弊害の方が大きい。
(・・・スッキリとした陰性の響き)
フリーソフトの活用
SPの位置とリスニング位置を入力するとリスニングポイントの伝送周波数特性が得られる。(フラット出力のスピーカを使用したとして)
伝送特性の見方
①細かい凹凸よりも全体的なパターンを見る
②Fの前後関係から5dB以上突出したピークは目立つ
③細かく鋭いディップは問題ないが、大きな幅を持つディップは良くない
④この9つのパターンでは聴感上の大きな変化はない
アンプなどの電気系の伝送特性はほとんどフラットである。スピーカの機械振動領域や、部屋の特性も加わった伝送特性はその共振系の特徴がダイレクトに反映される。
それでも
イ.同じ部屋でも縦長配置と横長配置では伝送音圧周波数特性が変わる。
ロ.横長配置のリスニング特性では低域のレスポンスが大きくなり凸凹の幅も
相対的に小さくなっている。
ハ.伝送音圧周波数特性はフラット特性よりも、低域で大、高域で小の特性の方が
好ましく聴こえる等、実音場より10~20dB弱いのがオーディオルームの再生
音圧であるから、低域レスポンスは大きめの方が低音域の耳の感度を補正する
意味で良いという理屈にもつながる。(等ラウンドネス曲線参照)
リスニングポイントでは直接音よりも反射音のエネルギーが大きい場合が多い
したがって反射音の質は大きな意味を持っている。
(この著者の中では反射音の質への言及は敢えてされていない。)
②部屋の響き
定在波の分布に目立った偏在がない
定在波の分布が偏った状態になり、それが響きのピーク感になる。その一方響かない領域が拡大し、生じることになり、音圧感のうすい領域ができる。
3~5dBのピークでも聴感上感じやすい。
鋭いディップは聴感上感じにくいが大きな幅を持ったディップは音の厚みにとぼしく、音楽的に好ましい響きにならない。
直接音は距離減衰が起こり音圧が低下するが、だんだん距離による減衰の影響が現れなくなる。
(ある距離からは音の大きさが一定に近くなる)
これは反射音・残響音のエネルギーが支配的になるからである→反射音の質が重要になる理由である
1.面材(床、壁、天井)が共振すると、それに付帯する共振も発生。歪音を伴う反射音になる。
2.共振することは、吸音するということである。面積が大きいので、無視できない吸音力となる。
3.現代の建築断面構造は100mmぐらいの空気層を持つ場合が多いので、音の充実感・安定感に直結する100~200Hzが共振し、それが吸音につながり、やせて聞こえるといった現象になりやすい。
現代住宅の内装下地は12.5mの石膏ボードで背後に100mm前後の中空層になっている構造が大半を占める。
したがって、軽くて太鼓状の断面構造を持っているので(最低共振周波数)100~150Hzで共振する構造になっているケースが多い。
表面下地材の面密度を大きくする(3枚に重くする)と、大きく面振動は抑えられる。
②-1.響きの長さについて(残響時間)
イ.部屋の大きさ(容積)と目的によって最適な響きがある。
ロ.音楽再生の場合はやや長めが良い
ハ.当リスニングルームは0.53秒で音楽演奏(アコースティック楽器)に適している。
ニ.低音になるに従って響きが長くなるのが良いというのが定説になっている。
ホ.残響時間(RT)と平均吸音率(α)は
RT=K×V/S×αの関係にある。
(αが小さいとRTは長くなる)
ヘ.日常生活空間の平均吸音率は0.2~0.3ぐらいである。
ト.音楽再生空間は、0.2前後がおすすめである。
カーテンや家具什器のある部屋の平均吸音率は0.15~0.2ぐらいになるので、響きがやや抑えられ特別な吸音をしなくても良いケースもある。
・人間も吸音力する。残響時間は人の多さで変化する。
・当視聴室は長めに設計されている。人とかカーテンなどによって響きをある程度コントロール可能
③音像の空間的拡がり
横長配置の音場の特徴
①直接音の割合が大きいのでリアルな音像が得られやすい。
②音に包まれた感じが得られやすい。
③比較的良い伝送特性が得られる。
a)ライブエンドーデッドエンドの鏡像
○音像が明確に前方に定位する
○ストレートな音像
×前方の音像の肥大や、不明確さ
b) デッドエンドーライブエンドの鏡像
○音像の左右の定位感が明確
○豊かな反射音に包まれる
×音のストレート感に欠ける
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