オーディオにおけるチューニングの世界 そのⅠ
-オーディオケーブルとオーディオボード-
オーディオ術にとってオーディオ機器のセッティングとチューニングは大きな比重を占めるということが忘れられていませんか。
オーディオアクセサリーの分野はやや軽視されがちですが、今回はチューニングによってオーディオが…ステレオの世界が蘇える可能性を楽しみます。Tuningの奥深さを公開します。お楽しみに!
チューニングはオーディオの中でも手軽に取り組めるジャンルですが、結構奥深いジャンルではないかと思います。
オーディオボードやラック、電源ケーブルやスピーカーケーブルなどの比較試聴を予定しています。
協力会社は今回、Zonotone様、TAOC様のコラボレーションにより、オーディオのチューニングの可能性を探る会にします。
開催概要は下記の通りです。
【TAOC】
①オーディオラック、オーディオボード、インシュレーターの比較試聴
②新製品スピーカーAFC-L1、TAOCサウンド魅力を徹底試聴
TAOC様より、今回、新製品のスピーカー「AFC-L1」をご準備頂けることとなりました。
【Zonotone】
①素材によるケーブルの音の変化を比較試聴
②ハイブリッド構造が特徴のZonotoneケーブルを聴く
(Gransterシリーズ~新製品Royal Spiritシリーズ)
▶開催日
・11月4日(金) 開場は 18:00より /19:00~21:00
・11月5日(土) 開場は 12:00より /13:00~15:00
※防音・音響よろずなんでも建築相談コーナーあり
▶会場
蔵前Village内 アコーステックラボ新試聴室
(台東区柳橋2-19-10 第二東商センタービル2号館B棟1階)
▶お問い合わせ先
○TEL:03-5829-6035
○E-mail:kusakai@acoustic-designsys.com
○担当者名:草階(くさかい)
☝各番号・アドレスをクリックすると画面が起動します
※お申込みフォームはこちらをクリック
ここのところ、イベントラッシュなアコースティックラボ。
同社は新しいシリーズとして、先日『オーディオライブin蔵前(仮)』を開催した。
オーディオにおけるチューニングの世界 そのⅠと題して行なわれた今回のイベント。
プレイヤーやアンプなどのハードを変えれば音が変わるのは、誰もが知っている一般的な話だ。
一方、ケーブルや電源周り、ボードやインシュレーターなどのアクセサリーは、「本当に音が変わるのか(良くなるのか)」と疑念を抱かれがちだ。
それはなぜだろうか。様々な背景が考えられるが、最も大きな要因は「音質変化を気軽に体験できないこと」であると筆者は考える。
アクセサリーによる音質変化の根拠は科学的に解明されていないことも少なくなく、実際に聴いて判断することが何より重要な世界だ。
しかし、現実は他人の評判を聞いてショーウィンドウ越しの製品を祈りながら買うしかない。まるでバクチの世界だ。
そんな悩ましい状況に一筋の光明が差した!
オーディオを楽しむのに最適な部屋で楽しむ『オーディオライブin蔵前(仮)』である。
筆者は同イベントの一日目に潜入したので、さっそくその模様をレポートしたい。
ナビゲーターには、Zonotoneの前園代表とTAOCの廣瀬氏、橋爪氏らが参加していた。
まずはアコースティックラボの鈴木代表から挨拶があった。
同社は音楽室やオーディオルーム専門に設計・施工する建築会社であるが、今日は視点を変えてアクセサリーによる音の違いを体験してもらいたいと鈴木氏。
まずはTAOCのデモからだ。
ラックやボード、インシュレーターの効果、その技術的背景について丁寧な解説を交えたテンポの良い進行だった。
オーディオボードの説明をするタオックの橋爪氏(左)と廣瀬氏(右)
3種類の鉄棒を叩く試験では、スチールが楽器のような長い残響を持っていたのに対して、普通鋳鉄は大幅に残響が短くなり、ハイカーボン鋳鉄に変えると「コン!」という極めて短い音がして一瞬で振動が減衰する様に驚いた。
振動を制する物はオーディオを制す。同社が鋳鉄にこだわる理由がとても分かり易い試験だった。
左が一般的なスチール、真ん中がタオック独自の鋳鉄、右が一般的な鋳鉄。
続いてオーディオラックの比較試聴に移る。
比較の組合せは①エントリーラックMSMKⅡとハイエンドラックCSRシリーズとの比較。
②MSMKⅡのラックにオーディオボードSUB-HC50Cを載せての比較。
③MSMKⅡのラックにインシュレーターTITE-35Sを3つ置いての比較。
④SUB-HC50CとTITE-35S合わせ技の比較。
これら全て、CDプレイヤーの設置環境を変えることによる比較デモを行なった。
プリメインアンプとCDプレイヤーは、あえて数年前のエントリーモデルにしたとのこと。普及帯の製品でも効果が大きいことが実感できた。
まず、余韻がシャープになって、音のリンギング(淀みやボケ)が激減する。
音場が澄み渡り、演奏空間がよりリアルに感じられた。女性ボーカルは空気感を増し、本来持っていた色気まで生々しく伝わってくる。
透明度が増してアタックが明瞭になったことで、躍動感まで向上したのには驚いた。音楽がより楽しめるのは間違いない。
左がMSMKⅡ、右がCSR。両者の違いは歴然であった。
ここでは割愛するが、同社のハイエンドスピーカーAFC-L1Mのバイアンプ駆動によるデモは至高の音楽体験であった。
大迫力のグランカッサにもビビらないアコースティックラボのショールームは、コンサート会場さながらの臨場感を楽しめた。
タオックスピーカー開発責任者の廣瀬氏。振動をコントロールする同社らしいこだわりが随所にちりばめられているスピーカーだ。
続いてZonotoneのデモが行なわれた。
ケーブルの違いによる音の変化を次々に聴きながら、内部構造の特徴まで踏み込む濃密な内容だ。
同社は、様々な導体を独自の比率で混合するハイブリッド導体を採用している。
音質傾向の異なる導体を同社ならではの黄金比でブレンドすることにより独自のゾノトーンサウンドを作り出しているのだ。
ゾノトーン代表の前園氏。ケーブルの違いによる音の違いについて、手際良く説明していた
今回特別に披露されたのは、代表的な導体であるOFC(4N相当)、HiFC、PCUHDそれぞれの単線RCAケーブルによる音質比較実験だ。
ハイブリッド製品を生み出す以上、採用導体の特性は熟知している同社。この度、社内用の特注品を特別に披露してくれた。
音質傾向は実に明解で分かり易く、参考になった参加者もいらっしゃることと思う。
Granster 2000α(RCA-LINEケーブル)からはじまり、3000α、5000αと続いて、最新作Royal Spirit AC-1と聴いていく。
時間の関係で電源ケーブルや電源タップの比較は出来なかったが、セッティングを覗いてみるとZonotone製品がそろい踏みであった。
ゾノトーンとタオックによるコラボ電源BOX
α系は、中低域に厚みがあり音調はまろやかであった。
グレードが上がっていくと、音色傾向は継承しつつ、楽器の実在感が向上して、音像も引き締まり、高域の伸びもよくなっていった。
Royal Spiritはサウンドステージが一気に広がって奥行きも増した。スピーカーの存在が消えそうな開放感は見事である。
同社前園代表はいう。「ぜひ機材だけでなくケーブルにも目を向けて好みの音を探して欲しい。確かにアクセサリーはキリが無いかも知れないが、突き詰めるととても楽しい世界です」
オーディオアクセサリーは楽しい世界――
ここまでデモを聞いてみて、十分にその面白さは伝わっていると筆者は思った。
そしてオーディオに適した部屋でじっくり体験できる場がとても重要であると痛感した。
最後に鈴木代表が最近の工事事例をいくつか紹介してくれた。
魅力的な部屋の数々を見るにつけ、夢が広がるなぁとしみじみ思う。
今日のイベントは、お隣の雑音に邪魔されたり、吸音特性がいまいちだったり、定在波が不快な響きをもたらしていたりする、“ありがちなオーディオイベント”とは次元が違う。
極めてピュアで、心地よい響きだけが存在するオーディオのための空間だ。
未体験の方はぜひオーディオフォーラムに訪れて欲しい。
人の声の響きが違うことにまず驚くだろう。この部屋で喋れば誰でも美声になれる。
普段あまり見ることのない他人の部屋の説明に聞き入る参加者たち。
同社のオーディオルームは、壁材に自然素材を使うことが多いという。
しっくいや天然木、御影石など。これらは古来より音楽を演奏してきた部屋がそのような素材で作られていたことと関係している。
その土地の気候や風土、地場の素材を使った建築様式に育まれ音楽は発展してきた。
過去から学び最新の技術を駆使して現代に音楽を聴く最高の環境を作り出す。
アコースティックラボの真摯な姿勢が感じられた。
終了後も、関係者や参加者がオーディオ談義に花を咲かせていた。
橋爪 徹 プロフィール
オーディオライター。ハイレゾ音楽制作ユニット、Beagle Kickのプロデュース担当。
WEBラジオなどの現場で音響エンジニアとして長年音作りに関わってきた経歴を持つ。
聴き手と作り手、その両方の立場からオーディオを見つめ世に発信している。
Beagle Kick 公式サイト
(http://dimension-cruise.jp/beaglekick/)
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