今年6月のイベントでスフォルツァートのフラッグシップ器のVelaの試聴会でその品位の高さを十分に堪能したのは記憶に新しい。
本イベントの主役・DSP-Doradoは、弊社常用のDSP-03の後継機種の位置づけとなり、またフラッグシップ器Velaの弟器になるそうだ。
スフォルツァートさんの開発・試聴ルームは当社で数年前に設計施工させてもらった。
そんな縁でDoradoの試作器を聞かせてもらっているが、まだまだ音は進化するのだなぁ、というのが実感。フラッグシップ器との差はわずか、こちらの方を好む人がいるかもしれない、、、とは開発設計者の弁。今回斬新なフロントパネルデザインとなった実器の音は、さらにブラッシュアップしているかもしれない。
同社の開発音環境と同等レベルの蔵前モデルルームで是非多くの人に聞いてもらいたいとのことで開催の運びとなりました。
価格もハイエンドの部類に入るらしいが、耳の肥やしにするだけでも価値があると思います。
当日はアコースティックリバイブの協賛で色々なアクセサリーがどんな役割を果たすのか、その重要さがわかる試聴会になりそうだ。
(アクセサリー類の音の変化をじっくり試聴できる機会はそう滅多にないですよ)
当日の進行次第は次の通りを予定しています。
———————-
まず普通にセッティングしてDSP-Doradoの音を聞いていただきます。
1)壁コンセントからの電源BOXまでの電源ケーブル、電源BOXから各機材の電源ケーブルを全部交換する
2)ネットワークプレーヤーからプリアンプ、プリアンプからパワーアンプのラインケーブルとスピーカーケーブルを交換する
3)各種ボードやインシュレーターを全ての機器に配置する
4)LANケーブルによる差、LANアイソレーターを付けたり外した際の音質を確認する
5)LANターミネーターとUSBターミネーター(DELA)とショートピン各種、EMFノイズキャンセラー、グランディングコンディショナーを装着する
6)電源コンディショナーやACスタビライザー、超低周波発生装置、マイナスイオン発生器などで電源環境とルームチューニングを整える
を1つずつ行い音質の向上を確認していただきます。
その後は最高にチューンされた環境でDSP-Doradoの音をCDリッピング、PCMハイレゾ、
DSDなど交えながら聞いていただき、最後のクロックをDSP-Doradoの添付クロックからPMC-03に切り替えてご試聴いただきます。
———————-
盛り沢山なので時間オーバーしそうですね。
蔵前Village 村長
スフォルツァートの新製品DSP-VelaとDSP-Dorado(弊社リファレンスプレーヤーDSP-03の後継機との事で当方としても心穏やかでいられるか?)の試聴会です。
LANケーブルによる音の差など周辺環境次第で大きく再生音が変わる事から、今回はアコースティックリバイブの全面的協力のもとのコラボイベントになります。
最新ネットワークプレーヤーとその使いこなしのノウハウや如何に。
詳細は後日追加告知をしますので、お楽しみに!
▶開催予定日
1部:9月8日(金)18時~20時(17時開場)
2部:9月9日(土)14時~16時(13時開場)
※イベントの前後に建築音響相談コーナーを設けます。
部屋造りや音響面でのご相談にお答えしますので、事前にご予約ください。
※試聴ソフトの持ち込み大歓迎です。(ファイル音源のみの再生なので、USBメモリをお持ちください)
▶会場
蔵前ショールーム
(台東区柳橋2-19-10 第二東商センタービル2号館B棟1階)
お問い合わせ先
○TEL:03-5829-6035
○E-mail:kusakai@acoustic-designsys.com
○担当者名:草階(くさかい)
※ お申込みフォームはこちらをクリック
Text by 橋爪徹
ケーブルやインシュレーターなどのいわゆるオーディオアクセサリーは、事前に効果を確かめて購入することが難しい。
運良く試聴できても、店内の喧噪が仇となって自らの判断に疑問符が付くこともある。
今回のオーディオライブin蔵前Villageは、国産ハイエンドネットワークプレイヤーの雄「SFORZATO」と『何も引かない、加えない』でお馴染みのオーディオアクセサリーブランド「ACOUSTIC REVIVE」の合同で催された。
この2社はドイツ・ミュンヘンで開催された「Munich High End 2014」において、最も音の良かったブースとして「BEST SOUND AWORDS」を受賞した経歴があり、その音質は国内外でも評価が高い。(受賞は、SPEC社も合わせた3社合同の受賞)
私がお邪魔したのは、2日目のステージ。
最初にアコースティックラボの代表鈴木氏より挨拶があった。
「専用室(防音室)の価値はオーディオ全体でどれほどのものか、頭の片隅で考えてほしい」という問いかけ。何気に深い意味がありそうだ。
SFORZATOの小俣氏
ACOUSTIC REVIVEの石黒氏
ナビゲーターは、SFORZATOの小俣氏、ACOUSTIC REVIVEの石黒氏が交代で行った。
小俣氏より同社の新製品DSP-Doradoについて簡単な説明があった。同機は、電源部と本体がセパレートされており、両者は専用ケーブル2本で結ばれている。
NASはバッファローのDELAを使用し、DSP-Doradoはネットワークプレイヤーとなって、アナログ出力が試聴室に常設されたアキュフェーズのプリアンプへと接続されている。パワーアンプは、アキュフェーズのステレオパワーアンプ2台をバイアンプ接続として802D3を鳴らしていた。
まずは常設のケーブルのままギターボーカルを試聴。
パーカッションが心地よく、デフォルトでも十分にいい音だ。
さて、ここからが圧巻であった。
各テーマに分けてアクセサリーを交換しながら音の変化を聴いていったのだが、とても音の変化が分かり易い。
ショールームは、前面の吸音パネルをフルに取り付け、後ろのカーテンも閉めてわずかにライブな響きであったが、残響の質感はピュアであり周波数帯の偏りもないので違和感は極めて少ない。音楽(音)の変化だけに集中できた。
以下、テーマ毎に交換の内容と音のインプレッションを紹介しよう。
試聴する曲はテーマ毎に変えて、最初の1分弱を繰り返し流し交換前・交換後と比較した。
【電源周りの交換】
(1) 壁コンセントから電源タップまでをACOUSTIC REVIVE(以下、アコリバ)に交換
「鮮度が向上、音像がハッキリ見える。ライブ録音のノイズまでリアルに」
(2) NAS、ネットワークプレイヤー、プリ&パワーアンプの各電源ケーブルをアコリバに交換
「歌手がまるでそこにいるような実在感。全帯域がエネルギーに満ちてくる。高域の雑味が減少し、空気感は真に迫る」
【LINEケーブル、SPケーブルの交換】
ネットワークプレイヤーからプリ、プリからパワー、パワーからスピーカーまでのケーブルをすべてアコリバに交換
「オーケストラは音場が立体的に。レンジも上下に広がり付帯音が一掃。演奏者の配置や奥行きが分かる。S/Nも大きく向上」
ここまでならほとんどのオーディオユーザーが体験したことのある話だろう。
つまり、「ケーブルで音は変わる」という事実だ。
しかし、後半はまたスゴかった。四次元ポケットのごとく次々と繰り出されるユニークなアイテムに圧倒された。石黒氏の音質へのこだわりは強かった。製品の技術的背景・音質変化の解説は明快で分かり易く、オーディオの奥深さを楽しめた。
興味が沸いた方はブランドの公式サイトをご覧いただきたい。
【振動対策】
クオーツアンダーボードをパワーの下に、エアフローティングボードをネットワークプレイヤーの電源部の下に、ヒッコリーボードをプリとNASの下に、マグネットインシュレーターをネットワークプレイヤーの下に、天然クオーツインシュレーターをNASとヒッコリーボードの間に、ケーブルインシュレーターを電源ケーブル各所に設置
「低域が密度と量感を増した。今までの音は何だったのかと驚くほどクリアに。音の質感が向上し、ソプラノのソロは女性らしく艶があり、まるで歌が巧くなったように聴こえる。前後の立体感もアップ」
【ノイズ対策】
プリの空き端子に、入力端子用防振プラグ。タップの空きコンセントに電源コンディショナー。ACスタビライザーを使用。グラウンディング・コンディショナー(仮想アース)を適用。EMF(電磁波)キャンセラーも使用。
「音の雑味が除去されてクリーンに。倍音は豊かに質感も滑らかに変化。地に足が付いたような安定感。説得力がありライブ感が向上」
【ネットワークオーディオの対策】
NASとネットワークプレイヤー間、ネットワークプレイヤーとルーター間、それぞれのLANケーブルをアコリバに交換。
「音像に纏わり付いていたモヤが消える。音場も透明度を上げた。」
LANアイソレーターをLANケーブルの各所に適用
「ギターの質感が自然に変化。ボーカルの口元感はうるおいを増す。S/Nが向上し、ダイナミクスもリアルに感じられる」
NASの空きUSB端子にUSBターミネーター、ルーターの空き端子にLANターミネーターを接続
「躍動感が向上。音像の彫りが深くなり、S/Nも改善」
という訳で。長くなってしまったが、実に多くのアイテムを効果的な場所へ次々に設置していくイベント進行は、とても濃密で2時間を何倍にも感じさせてくれた。
ネットワークオーディオ=デジタル領域での信号伝送においても、専用のアクセサリーは効果的だと実感できた。
この他、業務用のM12コネクタを採用したスイッチングハブ「M12 GOLD SWITCH」を使った音質比較も行われた。ジャズボーカルが実に艶めかしく変化して、デジタル領域の機材変更は本当に効果があると感心した。
DSP-Doradoに添付される小型クロックから、外付けクロックPMC-03に変更すると、完全に音源が別物になったような衝撃を受けた。音像が極めてリアルに描かれ、サウンドステージがクリアに広がる。実に贅沢な体験だった。
最後に試聴したのは、録音の段階からACOUSTIC REVIVEが全面協力した音源だった。
今回のイベントで実感した音の傾向そのままというか、「何も引かない、加えない」を地で行くサウンドに好感を持った。そこには音楽だけがある、音楽が鳴っていた環境だけがある。そんな感覚を味わうことができた。
■1曲目: HANDEL Sonata Op.1 for recorder (96kHz/24bit)
リコーダー、ヴィラダガンヴァ、チェンバロによる小編成。ベルギー アントワープでの教会録音
■2曲目:シューベルト ピアノ5重奏曲 「鱒」 (DSD 11.2MHz)
新垣 隆(ピアノ)と小池ストリングスによる演奏。府中 芸術の森モーツァルトホールでの録音
■3曲目:ブラームス 小品集 (DSD 11.2MHz)
福原 彰美 (ピアノ) 相模湖交流センター 大ホールでの録音
2曲目は配信中、1曲目と3曲目は10月にダウンロード配信も始まるそうなので、関心のある方は同社のホームページをチェックしてみて欲しい。
オーディオライブin蔵前Villageは、実に贅沢なイベントだ。
騒音とは無縁の専用試聴室で、自然な響きの下、音楽だけに集中できる。
アコースティックラボは徐々に同種のイベントを増やしており、まだ足を運んでいない方いたらぜひオススメしたい。
「これなら自分の耳で聴いた判断を信じられる」
きっとそう思っていただけるはずだ。
橋爪徹
—プロフィール
オーディオライター。ハイレゾ音楽制作ユニット、Beagle Kickのプロデュース担当。
WEBラジオなどの現場で音響エンジニアとして長年音作りに関わってきた経歴を持つ。
聴き手と作り手、その両方の立場からオーディオを見つめ世に発信している。
Beagle Kick 公式サイト
(http://dimension-cruise.jp/beaglekick/)
copyright(c) acaudio.jp