1月31日のオーディオフォーラムは終了致しました。ご清聴頂きありがとうございました。レポートはスクロールしてご覧ください!
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第16回オーディオフォーラムの開催をお知らせします。
今回のテーマは「屋内電気配線の違いがオーディオに与える影響とは」です。
ベテランのオーディオファイルともなれば、電源ケーブルやコンセントなど、電源廻りへのこだわりは欠かせないものです。
ですが、コンセントからコンポーネントまでの経路は工夫できても、大元となる屋内電気配線経路については、なかなか手が出せないものです。
そこで今回のセッションでは、
A. オーディオルームの100V電源供給について解説
B. 新しい線材 オヤイデ102SSCと、その他屋内配線材の聞き比べ
A、Bのパートともにハイレゾ再生音源を視聴しながら各々1時間程度、合計2時間程度の予定です。
大元の配線工事に手をつけるには、家の新築やリフォームなどのタイミングがチャンスとなります。
事前に配線の違いによる音の違いが把握できれば、どんな工事をすればよいのかの目安にもなりますので、ご参考にしていただければと思います。
また、コンセントを一般的な壁に設置した場合と、遮音壁のようなガッチリとした壁に固定したときの違いや、一般的なホスピタルグレードコンセントとオーディオグレードのコンセントの音の違いも体験できます。
今回のオーディオフォーラムから土曜日の14時~17時に変更しました。
14時~16時の2時間程度で上記セッションを行い、残りの時間でオーディオルームの相談会を行います。
ご希望の方は事前に、オーディオルームの相談希望とお伝えください。
【機材】
ネットワークプレイヤー / スフォルツァート DSP-03
NAS / DELA N1Z
プリアンプ / アキュフェーズ C-2420
パワーアンプ / アキュフェーズ P-4200
スピーカー / B&W 805Diamond
日時: 2015年1月31日(土)
場所:当社ショールーム
時間:14:00~17:00
お問い合わせはメール、またはお電話でお申込みください。
31日のオーディオフォーラムですが、お申込み多数につき、締切とさせていただきましたので、ご了承ください。
皆様のご参加をお待ちしております!
第16回オーディオフォーラムのレポートをお届けします。
今回からファイルウェブにて告知ページを展開したこともあってか、告知をして数日で定員に達してしまい、多くの方の申し込みをお断りさせていただく事態となりました。
参加いただけなかった方の為にも当日の様子をできるだけ詳しくレポートしたいと思います。
【第一部】
『オーディオルーム設計セミナー』
今回はほとんどの方が初めての参加だったので、はじめに当社の会社説明とオーディオルーム造りのポイントを解説するセミナー形式の時間を設けました。
当日、弊社代表の鈴木が熱く解説したポイントは下記の5つ。
過去に弊社でオーディオルームを造られた方も当日は飛び入りで参加くださったので、その方の部屋を造る前や造ってからの体験談なども話していただきました。
我々造り手側だけの話ではなく、実際に造った方の生の声も聞けたのでよかったのではないでしょうか。
【第二部】
さて、今回のメインテーマは『屋内電気配線の違いがオーディオにどんな影響を与えるか』でした。
コンセントからコンポーネントまでの電源ケーブルの比較は、多くのオーディオファイルが既に実践されていることですが、分電盤からコンセントまでの屋内配線材による音の違いを比較された方は、ほとんどいらっしゃらないのではないかと思います。
実はつい先日、弊社試聴室はコンセント回路廻りのリニューアル工事を行ったのですが、きっかけはオヤイデ電気社が新たに発売した屋内配線材FF-20 V2の導入でした。
2年前に生産終了した古河電工のPCOCCに代わる新導体102SSCをオヤイデ電気社が開発し、その新導体を使用したもので最近注目されている配線材です。
そうした背景もあり、我々建築屋としての視点から今回のテーマを取り上げたのです。
また、会の進行自体もいつもとは趣向を変えて行いました。
オヤイデ電気社のFF-20 V2も含めて4種類の屋内配線材を使い分けた電源回路を用意し、それらの詳細は一切公開しない状態で参加者に音楽を聴き比べていただき音の違いを純粋に評価していただくという一種のブラインドテスト形式で試聴いただきました。
それらの諸条件は下記の通りです。
①聴き比べた屋内配線材(A~Dの4種類)
A:VVF1.6
建築工事において最も一般的に使われる屋内配線材で、皆さんのお宅にも必ず使われている線材。ビニール絶縁、ビニールシースで被覆された1.6㎜の銅線が使用されている。
B:EEF2.0(通称ECOケーブル)
絶縁体とシースにポリエチレンを使用することで環境に配慮した電線となっており、オーディオ的にも音が良いと評価されている電線。
C:FF20 V2
オヤイデ電気社が新開発した導体102SSCを採用し、絶縁体はポリエチレン、シースはハロゲンフリーシース。102SSCは導電率が102%を超えることから102と名付けられたとのこと。今回使用したものは2㎜の単線。
D:CV14
主に電気工事おいて幹線として使われる電線で、大きな電流を流すのに適した電線。当社では昔からオーディオ用途にCVケーブルを多数提案し採用している。
*弊社事務所設置の専用端子台から試聴室コンセントまでを上記4種類の線材で配線
*線材の長さは4mで統一
*コンセントはオヤイデ社のR0 Berylliumで統一し、プレート及び設置方法も共通
②プリアンプとパワーアンプの電源のみ変更して聴き比べる
*NetworkPlayer及びNASの電源は変更なし
③ポップス、クラッシック、ジャズの楽曲を1曲ずつ再生し、それぞれの曲でA~Dの電源を順に切り替えて聴き比べをし、評価してもらった。
④評価方法は 『×(1点)』、『△(2点)』、『○(3点)』、『◎(4点)』の採点と、コメント記載。
今回協力いただいたオヤイデ電気社の荒川氏と石黒氏にも参加いただきましたが、まさか自社製品をブラインド試聴比較させられるとは思わなかったことと思いますが・・・。
ちょっと意地悪な内容だったかもしれません。。。
当日参加された15名の強者オーディオファイルの評価結果は・・・
オヤイデ電気社のFF20 V2(電源C)が最も好感度点数が高く、僅差ではあるが次にEEF2.0(電源B)、CV14(電源D)という順。そしてVVF1.6(電源A)は最も評価が低く上位3種類と点差も大きく開いておりました。
今回採点という形で評価いただいたが、今回の結果がもちろん絶対的なものではなく、あくまでも視聴者の好みや楽曲や機器との相性という要素も大きく影響するものだということを付記しておきます。
とは言うものの、我々も準備段階から試聴を繰り返し行い、オヤイデ電気社のFF20 V2に対しては、音の輪郭が非常にスッキリ・クッキリとし、キレも増して『昨今のオーディオ業界におけるハイエンドコンポーネント的進化?を価値基準とするならば、確実にその延長線上にある鳴り方だな』という印象を受けました。
EEF2.0(電源B)に関しては、オヤイデ電気社のFF20 V2に似た傾向の音で、それらに多少の甘さが加わった(良い意味でも悪い意味でも)印象を受け、CV14(電源D)は太くて温かみやパワー感があり、S/N比の良さも感じられた。
当日の参加者の評価表も参考までに記載しておきます。
また今回も参加くださったオーディオ評論家の村井裕弥氏の評価表。
村井氏の評価内容を見させていただいたところ、聴き方や評価の仕方がやはりプロ!
オーディオ勉強中の私とは違いました・・・(比べること自体が間違ってますね・・・)。
また、ブラインド試聴比較だったのにも関わらず、オヤイデ社のFF20 V2(電源C)の音をブレることなくすべての楽曲において最高評価している点はさすがだなと感心させられてました。
コンポーネントからコンセントまでの電源ケーブルを変えるだけで音が変わるのですから、それよりさらに上流にある屋内配線を変えることは、オーディオ的にも非常に意味のあることだということを今回の会を通して再認識しました。
今回の仕様はいつでも当社ショールームで試聴できますので、今回ご参加できなかった方、またはもう一度聴いてみたい方はご連絡ください。
オーディオ評論家の村井裕弥氏によるレポートをご紹介します。
本年1月から、アコースティックオーディオフォーラムが最終土曜14時スタートになった。
「今月のテーマは、屋内配線材(分電盤のブレーカーから壁コンセントまで、壁の中を通すケーブル)の聴き比べだ」と聞いていたから、「はい、次は○○です。そのつぎは□□です」という感じで、順に聴き比べていくのだろうと思い込んでいた。
そうしたら、席に着くなり「線種の比較試聴」という記入用紙が配られた!!
「4種の屋内配線材を使って、4つのコンセントを作りました。条件はまったく同じで、違うのはコンセントまでの屋内配線材だけ。これをブラインド試聴して、皆様からコメントと評価をいただきたいと思います」
ひえーっ!! さすがアコースティックエンジニアリングだ。こんな試聴会、世界中探したってまずないだろう。人によっては「客の能力を測るようなイベントなんかありえない」といってキレそう。
この日用意された4種の屋内配線材について、ざっと解説しておこう(安い方から順に)。
○ VVF1.6
1.6は導体の線径。それをビニル絶縁体で覆い、さらにビニルシースで覆っている。屋内配線・屋側配線・動力用配線・冷暖房機配線など幅広く使われている標準的なケーブルだ。実勢価格170円(1メートル)。
○ EEF2.0
2.0は導体の線径。ハロゲンや鉛を含まない被覆を使用(地球環境に優しいのでエコケーブルと呼ばれる)。VVFに比べ、耐熱温度が高く、電気容量も1.3倍。誘電率や絶縁抵抗が低く、汎用の屋内配線材と比べ、音質面で有利といわれている。オーディオ評論家・福田雅光先生が『福田屋』で推奨して以来、売れ続けている定番。実勢価格320円(1メートル)。
○ CV14
14は断面積(平方ミリメートル。スケアともいう)。導体を撚り合わせた外径は4.4ミリ。他はすべて単線だが、これだけが撚り線だ。正しくは架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル。略してCV。絶縁体に架橋ポリエチレン、シース(外装)に塩化ビニルを使用している。ポリエチレンの欠点であった耐熱性を改善。電気特性に優れ、許容電流が大きく、物理特性にも優れる。実勢価格900円(1メートル)。
○ オヤイデ 102SSC
製品名はFF-20 V2。これまで最高の導体とされてきたPCOCC-Aが作られなくなり、その代替としてオヤイデが新たに開発したのが102SSC。ベースとなったのはC1011(JIS規格における1種OFC)だが、再生材を一切混ぜないヴァージンを銅をのみ使用し、線材を細く引き出す際、ピーリングを施し、導体表面を平滑化して、電流をより滑らかに流すのだという。このピーリングに、人工ダイヤではなく天然ダイヤを用い、アニール(焼きなまし)も窯ではなく、通電でおこなうほどのこだわりぶり。定価3000円(1メートル)。
さあ、この4種、音はどれくらい違うのだろう。筆者は職業柄、様々な機器やケーブルを比較試聴しているが、屋内配線材の聴き比べは初めてだ。緊張するなあ(的外れなこと書いたら、廃業ものだ!)。
屋内配線の比較試聴
4種の屋内配線材は、それぞれA、B、C、Dと呼ぶことに。もちろんどんな順番で鳴らすかは、筆者にも伝えられていない。
チェック用ソフトは3種。
○ ホリー・コールの「ガールトーク」
○ ビル・エヴァンス「ワルツ・フォー・デビイ」
○ モーツァルト:ピアノ協奏曲第25番K.503第1楽章 マルタ・アルゲリッチ(ピアノ) ヤーチェク・カスプシーク指揮スイス・イタリア語放送管弦楽団 2012年ルガーノ音楽祭における実況録音
屋内配線材の異なる4つのコンセントから電源を取るのはアキュフェーズC-2420(プリ)とP-4200(ステレオパワーアンプ)のみ。NASとネットワークプレーヤーはアキュフェーズのクリーン電源PS-520につないだままだ。
なおブラインド試聴は、ホリー・コール固定でA、B、C、Dを聴き、その次、ビル・エヴァンス固定でA、B、C、Dを聴くという(つなぎ換えるスタッフにしてみると面倒この上ない)方法でおこなわれた。そのほうが、屋内配線材個々の違いがよりわかりやすいと考えたからだ。
まずは、ホリー・コールから。
【屋内配線材A】
ベースが何となくゴム紐臭い。人工的で、こくやリアリティに欠ける。ピアノも濁る。ヴォーカルはそれなりにさわやかだが、少しガサつく。音の色数も少ない。これが一番安いケーブルなのだろうか。いや、体操でも、フィギュア・スケートでも、最初は点数が辛くなりがちだというから早合点は禁物だ。
【屋内配線材B】
ベースが俄然力感を増す。ずしんと手応えを感じるし、重量感もかなりのもの。「下の下まで出たな」という感じだ。ピアノもゴツゴツ、ガンガン鳴る。声ものびやか。口の中が見えるかのようでもある。表情が細やかなところもよい。さっき聴いたAとは大違いだ。これが3,000円なのだろうか。
【屋内配線材C】
Bと同程度にベースが重い。ただ、こちらはキレも両立。ピアノに関しても傾向は変わらず、音像の立体感(ぐっと前に出てくる)とキレが印象的。声もしなやかだ。歌詞がより聴き取りやすいのもうれしい。ベースにしっかり下支えされ、他の奏者も、歌手もノリノリ。これが3,000円か?
【屋内配線材D】
ベースから、多彩な音が聞こえる(ただ低いだけ、ただ力強いだけではないのだ)。ピアノもキレ、重さに加え、軽やかさが出てきた印象。歌い回しの微妙な変化もわかりやすい。S/N比感が高いから、微細な表現がよく聴き取れるのだろうか。
迷ったが、CとDに二重マルを、Bにマルを、Aに三角をつけた。3,000円はCか、はたまたDか。しかし、他のソフトをかけてBが巻き返す可能性も否定できない。
ここからビル・エヴァンス。
【屋内配線材A】
ピアノがいかにも安い(使い古した廉価品?)。音がもろいとでも言えばよいのか、いわゆる骨粗鬆症サウンドだ。ベースは、下がいっこうに延びず、「一応弾いています」という申し訳程度の演奏。ドラムもかなり安い。
【屋内配線材B】
Aに比べ、明らかにfレンジが広い。ピアノにフォーカスが来て、キレも出てきた。ベースも積極的で、かなり低い帯域まで再生されるようになった。ブラシの情報量も多い。
【屋内配線材C】
これまで感じられなかった会場の暗騒音が聞こえる。ピアノの音像が立体的。はかなげなニュアンスもよく出ている。ドラムから、安っぽさが消えた。会場ノイズが、これほど聞こえるのは珍しい。
【屋内配線材D】
低音はよく出ているが、高域が聞きやすく丸められた印象。ベースは一発一発が重いが、やや単調に感じられる。ドラムは軽やか。
Cに二重マル、BとDにマル、Aに三角をつけた。Dが一歩後退。3,000円はCなのだろうか。しかし、クラシックを聴いてみるまでは、まだわからない。
ここから、マルタ・アルゲリッチ。
【屋内配線材A】
弦楽合奏が少しガサつく。刺激感もあり。ピアノソロはいささか曇る。
【屋内配線材B】
弦楽合奏の品位が著しく向上。高価な楽器に持ち替えたかのようだ。ピアノも、ヴァイオリンも高域が延びている。ヴァイオリンは、演奏そのものも伸びやかになったように聞こえ、表現も多彩に感じられる。
【屋内配線材C】
適度なキレとまろやかさ(ちょうどよいバランスだ)。ほんのり甘さが漂うところもよい。ヴァイオリンが、さらに積極的になり、キビキビした演奏に。
【屋内配線材D】
「ワルツ・フォー・デビイ」同様に、少し高域が丸くなる印象。しかし、ピアノソロは、これが最もダイナミック。ヴァイオリンはアグレッシヴだが、わずかにガサつくか。
BとCに二重マル、Dにマル、Aに三角をつけた。
ここで休憩。スタッフが記入用紙を集めに来る。「トンチンカンなこと書いていたら、どうしよう」と不安になったけれど、提出。
休憩後、参加者全員による得点合計が発表された。
ホリー・コール
A 17点
B 35点
C 34点
D 34点
ビル・エヴァンス
A 19点
B 36点
C 37点
D 32点
マルタ・アルゲリッチ
A 21点
B 34点
C 36点
D 36点
そして、どれが何なのかも発表!
A VVF1.6
B EEF2.0
C オヤイデ102SSC
D CV14
オヤイデの3,000円ケーブルが最高得点。しかし、CV14、EEF2.0も、大健闘と言えるだろう。
後半は、電研精機のステップダウントランス(200Vを100Vに落とすトランス)を使った試聴。このトランスは本来医療用であり、ノイズカット効果があることも確認されている。
【女性ヴォーカル】
濃密、よい意味でねとねとな世界(蠱惑的?)。質的にも、量的にも満足な低音。
【ストラヴィンスキー:火の鳥】
イヴァン・フィッシャー指揮ブダペスト祝祭管弦楽団による演奏。極めて明瞭。合奏精度が高く、キビキビ進行していく。エネルギー大爆発の快感。引き締まった低音が、かなり下まで延びているのもうれしい。過去のフォーラムでも再生された音源だが、今回が一番よい音かもしれない。
【ホテル・カリフォルニア】
再結成後のアルバム『ヘル・フリーゼス・オーヴァー』のほうをかけた。いかにもガット弦であるという味わい深さ最高。キレや抜けもよい。これもフォーラムでよくかかるが、サブウーファーを併用した前月を除けば、最もよい低音が出ているのではないか。
このあと、トランスを介さないふつうの100Vの音を聴く予定であったが、時間切れのため省略。たいそう残念であった。
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