Audio Forum Vol.56

  • 2018.11.23 (金)
  • 吸音配置とステレオ再生パターンの関係を実験・試聴する
追加告知

 先週のインターナショナルオーディオショウに5年ぶりに行ってみた。
ハイエンドの海外製品のオンパレード。今年はもう最後のオーディオ関連のイベントはないと思われるが、イベント疲れの方もいらっしゃるかもしれません。

 以前から感じていたことだが機器価格はどう見てもバブル気味だと思う。常識外のお金をつぎ込むのが道楽だとすれば、昔からどんな分野にも一定程度道楽者がいて、このような商品が存在するのだというのも納得できないわけではない。それにしても各ブースの『出音』はさすがに素晴らしいと思わせるものが多かったように思う。
 イベント会場は住宅のそれより格段に広い。全音域の吸音天井、床は全面カーペット敷、壁も何やら布製の吸音面ありということで、非常にデッドな響きである。したがって低音の定在波という悩ましい問題も生じてなさそうで、中高音は反射音が少なくストレートに近い音が聴けるという意味では末席の端っこで聴いていた筆者でも各オーディオ機器の音の素晴らしさや特徴が良く認識できたのである。
 別の言い方をすればSPから出る『出音』が良く認識できたということであって、それは出展者のオーディオ機器のデモンストレーション効果が良く分かるという意味で、このようなショウの意義はやはりあるのだという思いを改めて感じた次第。
 
 住宅における我々のオーディオ空間は小さい。室内音響の見地からすれば、小さい部屋ほどSPからの『出音』は部屋の影響を受けやすい。そしてオーディオ機器の音と部屋の音の両方を同時に聞いているという事実から逃れることはできないということも事実だ。
 お店で聴いたり、オーディオショウで聴いたりする素晴らしい『出音』が、そもそも前提となる空間が違うオーディオルームで聴けるかどうかはベテランオーディオマニアなら誰でも知っていることである。
 料理に例えてみよう。素材は旨い食材に越したことはない。どのように調理して、味付けするかは料理人の腕次第。盛り付ける器を吟味することで、最高の料理を味わうことになる。器次第ではより料理は旨くなることもあるし、その逆もある。
~閑話休題~

 前回は部屋の響きの長さの話でしたが、今回は同じ響きの長さでも、吸音材の配置によって音楽再生の満足度が違ってきますよ・・・・という話である。

フロントデッド リアデッド

 
 フロントをデッドにするか、リアをデッドにするかの2パターンの再生音場を実験・体験しようという会です。
 
ここでは当社特製の『吸音パネル』を外したり、追加したりして実験するわけですが、皆様の部屋の場合ではできないよ・・・という声が聞こえてきそうです。
 吸音材というのは、グラスウールなどの専門的に吸音材として使われるものが吸音材とは限らないのです。部屋の中に存在するものは全て大なり小なりの吸音効果があるのです。経験的にカーテンのようなものは中高音を吸音しますし、ソファーのような厚くマッシブなものは低音域まで吸音します。また吸音力は小さいものの箱状の家具などは共振による低音の吸音現象が現れます。本なども吸音します。ですから物が多い部屋は、吸音された部屋であることは経験的に知っている人は多いでしょう。
 ここで、積極的に実験してみようという方は、シーツや毛布・座布団などを仮設して確かめられます。
例・押入れの襖戸を外して壁に立てかける
 ・襖戸に毛布をかぶせて壁に立てかける 等。

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今回の視聴は、オーディオプレーヤー部分を
『コードQutest + バッテリー駆動 + Mutec MC-3UB + サイバーシャフトクロック』
に変えただけでなく、
1.スピーカーをバイアンプ駆動に戻した(1年ぶり)
2.スピーカーケーブルをオヤイデのオーディオ用屋内配線用ケーブルにした
3.パワーアンプ以外の機材を木製からTAOC製のラックに変えた
4.その他電源ケーブル差込コンセント(4種類の屋内配線材によるコンセント常備)を変えるなど
その結果大きく音が変化していますが、どのように変化しているかは参加者の判断にお任せします。

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改めて部屋の室内音響の要素以外のセッティング、配線などのチューニングの余地の大きさに驚いています。
音はすっきり、クッキリの方向に変化しているので吸音配置による音場変化の実験による違いがはっきりするのではないかと思っています。

 

システム系統図

 

今回の事例紹介は、
新築時から弊社が参加した事例で、10帖のオーディオルームです。
Magicoのスピーカーがどのように鳴ったのか、お楽しみに。

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告知概要

前回は部屋の吸音をどのくらいにするのが良いのか、
好みと響きとの関係を試聴する会でした。

吸音の度合いが同じでもスピーカーの背面を吸音するのか、
リスニングの背面を吸音するのかによってステレオの聴感は大きく変わります。

今回は、

イ.客観的に対象的に音を音像として聴くのか
ロ.楽音のリアリティを音楽空間の再生として聴くのか

というステレオの愉しみ方の基本スタイルを確認、実験・試聴する会になります。

オーディオ機器の特性を生かした空間づくりには欠かすことができないノウハウがつかめます。

 

開催概要

▶開催予定日

 1部:11月23日(金)14時~16時(13時開場・自由試聴時間)
 2部:11月24日(土)14時~16時(13時開場・自由試聴時間)

※イベントの前に建築音響相談会および、自由試聴時間を設けます。
 建築音響相談会に関してご希望の方は、申込フォーム備考欄にご記入、もしくは電話にて事前にご予約ください。

※試聴ソフトの持ち込み大歓迎です。(ファイル音源のみの再生なので、USBメモリをお持ちください)

▶会場
蔵前ショールーム
(台東区柳橋2-19-10 第二東商センタービル2号館B棟1階)

▶お問い合わせ先
○TEL:03-5829-6035
○E-mail:kusakai@acoustic-designsys.com
○担当者名:草階(くさかい)

※ お申し込みは、こちらをクリック

参加連絡先

協賛

吸音配置とステレオ再生パターンの関係を実験・試聴する

REPORT Vol.56

  • 2018.11.23 (金)
  • 吸音配置とステレオ再生パターンの関係を実験・試聴する

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